世界的に住宅ローンの延滞が急増しそうだ 住宅価格下落と消費不振のスパイラルも不安

東洋経済オンライン / 2020年7月16日 7時45分

しかし、これらは一時的に元金の返済を猶予する措置にすぎず、返済総額が減るわけではない。例えば住宅金融公庫など一部の銀行は、支払い最終期限を延長して当座の返済を抑える対策をいち早く発表した。しかし、支払いの上限年齢(80歳が一般的)は変えないとしていることから、たいした延長はできないケースが多いとみられる。期限を延長できなければ、とりあえず返済を低く抑えたとしても、あとで増加するだけだ。

また、外部の情報センターに延滞を登録しないとしても、その銀行内の記録は消しようがない。教育ローンやオートローンなど、別の取引を希望する場合の影響は不透明だ。

■足元の住宅価格はまだ堅調だが…

こうした延滞の増加で今後どのような影響が生じるだろうか。

まず、住宅価格の下落が予想される。

延滞の増加が激しいアメリカで見てみたい。全米不動産業協会のデータによれば、5月の中古住宅成約指数は前年同月比では10.4%の低下となったものの、前月からは44.3%上昇という急回復ぶりをみせた。6月30日に発表されたケースシラー住宅価格指数(20都市)も、前年同月比で3.98%の上昇となっている。

堅調な住宅価格と延滞とのギャップが不気味である。住宅ローン金利が30年物の固定で3.1%と歴史的低水準にあることや、銀行の担保権行使が禁じられていることから、住宅在庫が減少していることなどが効いているようだ。

しかし、今後についてはまだ楽観視できない。延滞の増加で銀行の貸出条件が厳しくなりつつあるためだ。

JPモルガンチェースでは7月からクレジットスコア(顧客の信用力評価)の下限を“プチ富裕層”レベルの700以上とし、しかも頭金を20%以上に厳格化すると、報じられている。現在の最低スコアは明示されていないが、住宅関連サイトには概ね620以上と紹介されている。新しい700というスコアは、住宅購入層に差し掛かる30代では、おおむね3割、40代でも4割強しか存在しないとみられる。

こうした厳格化はJPモルガンに限った話ではない。4月の米銀のローン担当者サーベイでは、今後「住宅ローンの条件を引き締める」という回答が急増した。特に、大口の住宅ローンとサブプライム顧客向けのローンでは顕著だ。5月以降は一層厳しくなっており、一見好調な住宅価格を冷え込ませる可能性がある。

■日本も年率4~5%の価格下落はありうる

日本はどうか。東京カンテイによれば、5月の首都圏の中古マンション価格は前月比で0.7%の下落。3カ月連続の値下がりとはいえその幅は小さい。売り出し物件の値下げ率も5.5%程度と8%を超えていた2012年頃などと比べてさして高くはない。ただ、これらのデータは“販売希望”価格だ。まだ下落余地はあるだろう。

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