東京女子医大病院「400人退職」の裏にある混沌 医療スタッフのボーナスをカットした本当の訳

東洋経済オンライン / 2020年7月16日 18時0分

腎臓移植や人工心肺装置の開発などで、女子医大は日本を代表する大学病院の地位を確立。1日の外来患者数は、約4000人と人気が高かった。

しかし、名門病院のブランドは、2001年に起きた心臓手術の死亡事故を契機に一変する。

2人の医師が逮捕され、執刀医(講師)は患者のカルテを改ざんした証拠隠滅罪で有罪判決が確定。もう1人の医師(助手)は、女子医大による内部報告書で、事故原因の責任を押しつけられたが、刑事裁判では無罪判決となった。裁判の過程で、組織ぐるみの隠蔽工作が明らかになり、後に女子医大は助手だった医師に謝罪と損害賠償を支払っている。

ガバナンスの欠如を重視した厚生労働省は、女子医大の特定機能病院の指定を取り消した。外来患者数が急減した女子医大は、一気に赤字経営へと転落したのである。

特定機能病院の指定は2007年に再承認されたが、2014年に再び重大な死亡事故が発覚する。

2014年、女子医大のICU(集中治療室)で治療中の2歳児が、プロポフォールという鎮静薬を大量投与され、3日後に死亡した。プロポフォールは、ICUで人工呼吸中の子どもに使用を禁止されていたことから、女子医大の管理責任が問われた。

さらに女子医大では、ほかに63人の子どもにもプロポフォールを投与、そのうち12人が投与後3年以内に死亡していたことが明らかになる(女子医大側は、投与と死亡の因果関係を否定)。

この問題をめぐって、女子医大の理事長と学長の内部対立をさらけ出し、遺族への対応のまずさも目立った。

「女子医大は2度死んだ」と、勤務する医師が嘆くほど、2つの事故によって、かつての栄光は地に堕ちたのである。

厚生労働省は、改めて女子医大の特定機能病院の承認を取り消した。外来患者の減少と評価の高い看板医師の流出が起こり、女子医大は3期連続の赤字に逆戻りする。経営立て直しのために、人件費の抑制が行われ、職員のボーナスは、2013年から2016年までの3年間で、最大123万円も減額された(労働組合調べ)。このとき、労務担当理事として大なたを振るったのが、去年から理事長に就任している岩本絹子氏である。

「岩本氏は、東京・江戸川区の産婦人科クリニックで院長をしていましたが、創業者一族として女子医大の運営に乗り出してきました。厳しい人で、書類を投げつけるときもあるそうです。誰も意見できない雰囲気で、まるで独裁者だと揶揄する職員もいます」(女子医大関係者)

■人件費切り詰めの一方で施設整備に巨額費用投下

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