アメリカの「無印」破綻にみる拡大路線のひずみ 海外展開を加速も、欧米はコロナ前から苦戦

東洋経済オンライン / 2020年7月17日 7時5分

新型コロナウイルスの影響で休業したニューヨーク・マンハッタンの無印良品の店舗(写真:共同通信)

新型コロナウイルスの感染者数が世界最多を更新し続けるアメリカ。経済活動の停止や消費者の外出自粛が長期化し、現地の百貨店や衣料品ブランドが続々と経営破綻に追い込まれる中、日本の小売り企業もついに音を上げる事態へと発展した。

生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画は7月10日、アメリカ事業を展開する連結子会社「MUJI U.S.A. Limited」が同日付でアメリカ連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請したと発表した。今後は不採算店撤退や賃料減額に向けた家主との交渉を進め、良品計画傘下のまま事業再建を図るという。

■コロナ前から赤字が続いていた

「アメリカ事業は高コスト体質になっており、再建に取り組んでいたが、(新型コロナの影響で)3月17日から全店舗を閉鎖し、2カ月以上収入がゼロの状態が続いた。今後のマーケットも非常に不透明であり、チャプター11を申請した」。7月10日に開かれた決算説明会の場で、良品計画の松﨑曉社長はそう説明した。

良品計画は2006年にアメリカ事業の子会社を設立。2007年から直営店の出店を始め、現在は18店を展開する。事業拡大に向け2017年度以降は年間2~3店舗ペースで出店を加速させたが、新たに開いた大型店を中心に想定ほどの売り上げが取れず、賃料の高さもネックとなって営業赤字が続いていた。

2019年5月にはアメリカ事業の再建計画を策定し、本部の人員削減や過剰在庫の圧縮を進めた。しかし固定費の大部分を占める賃料の問題については「閉店もしくは賃料減額を強く家主と交渉してきたが、今日に至るまで(解決)できていない」(松﨑社長)。

今回、親会社の良品計画から支援を続けるのではなく、あえてチャプター11の適用を申請した理由もこの賃料の高さにある。チャプター11の法律の中に賃料などの定めがあり、それに基づいて交渉することで、店舗によっては賃料減額が可能になると判断したという。

アメリカ子会社の2019年度の売上高は約110億円で、良品計画の連結売上高に占める比率は2.5%程度。世界31の国と地域に店舗を広げる良品計画だが、海外売上高の7割超は中国などの東アジア事業で稼いでおり、アメリカ事業のチャプター11申請に伴う業績への直接的な影響は少ない。

とはいえ、世界トップの経済大国であるアメリカは、海外戦略を強化するうえでは重要な市場。日系ブランドでは現地に50店舗を展開するユニクロも、店舗立地によって売り上げのばらつきが大きくアメリカ事業は赤字が続いている。

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