濁流が飲み込んだ線路…「九州鉄道被災」の現場 駅や車両も被害、一部区間は全容把握できず

東洋経済オンライン / 2020年7月18日 7時10分

線路が冠水した肥薩線の坂本駅=2020年7月15日(記者撮影)

レトロな風情が観光客に人気の木造駅舎が建つJR肥薩線の坂本駅(熊本県八代市)。ホームの間に敷かれた線路は土砂に埋もれ、豪雨から日数が過ぎても一面の水たまりだ。線路上には流されてきた車も取り残されている。駅前にもひっくり返った車が横たわり、割れたフロントガラスや車体に付いた傷が濁流のすさまじさを物語っていた。

日本各地に爪痕を残した記録的豪雨の被害発生から2週間。九州の鉄道の被災状況が少しずつ明らかになってきた。線路への土砂流入や盛土の崩壊に加え、氾濫した川での鉄橋の流失などによって復旧に相当な時間が見込まれる区間もある。

■JRだけで300件以上被災

JR九州の管内では7月12日時点で、計345件の被害が確認されている。

熊本県の八代から人吉を経て鹿児島県の隼人に至る肥薩線は3日からの大雨で、沿線の球磨川が氾濫。2つの鉄橋が流されたほか、レールと枕木を支えるバラスト(砕石)部分の道床や、その下の路盤、盛土が崩れるといった65件の被害が確認されている。

球磨川の風光明媚な車窓が続く「川線」と呼ぶ区間では、鎌瀬―瀬戸石間の「球磨川第1橋りょう」と那良口―渡間の「第二球磨川橋りょう」が流された。どちらも人吉まで鉄道が開通した明治後期、1908年に架けられた歴史的建造物で、蒸気機関車「SL人吉」が橋を渡る姿が絵になっていた名所だ。

また人吉から「山線」に入って1駅先、大畑(おこば)駅までの区間でも盛土流出が確認された。同駅は高低差を克服するためにループ線とスイッチバックの両方があることで知られている。JR九州によると、とくに球磨川の流された2つの鉄橋の間の区間や、人吉―真幸(まさき)間は、いまだに被災の全容を確認できていない。ただ、真幸駅に停車していた観光列車「いさぶろう・しんぺい」の車両自体は無事だという。

福岡県の久留米と大分県の大分を結ぶ久大本線は、豊後中村―野矢間の「第二野上川橋りょう」が流されたほか、トンネル・線路への土砂流入や盛土流出など145件の被害が確認されている。同線は2018年7月、前年の九州北部豪雨で被災した日田―光岡間の花月川を渡る鉄橋が架け替えられ、約1年ぶりに全線再開を果たしたばかりだった。

鹿児島本線は熊本県内の玉名―肥後伊倉間、鹿児島県内の木場茶屋(こばんちゃや)―串木野間、上伊集院―広木間で大規模な土砂流入など26件の被害が出た。肥薩線、久大本線、鹿児島本線以外の線区でも倒木や線路浸水などを含め、109件の被災が確認されている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング