名物スイッチバック復活、豊肥線が全線再開へ 熊本から阿蘇へ、4年4カ月ぶりに列車が走る

東洋経済オンライン / 2020年7月21日 7時10分

8月8日に全線再開する豊肥本線の復旧現場。画面左側で列車の方向を変えて勾配を上る(記者撮影)

2016年4月の熊本地震で被災したJR豊肥本線が8月8日、4年4カ月ぶりに全線で運転を再開する。不通が続いていた肥後大津―阿蘇間の復旧が完成し、7月21日から実際にディーゼル車を走らせる試運転を開始。翌日以降、運転士の習熟運転を本格化させて開通に備える。

JR九州は7月16日、地震後に大規模な土砂崩れが起きた立野駅周辺の被災現場などの復旧状況を報道陣に公開した。

■スイッチバックが名物

豊肥本線は熊本と大分を結ぶ148kmの路線で、全線開業は1928年。震災前は、熊本―別府間の九州横断特急のほか、車両最前部の展望席や「親子シート」を備えた特急「あそぼーい!」が熊本から阿蘇エリアを訪れる旅行者に人気だった。阿蘇は現在も噴煙が上がる中岳の火口や、山麓の草千里、カルデラを取り囲む外輪山の雄大な景色が国内外からの観光客を引き付けてきた。

立野駅は外輪山の“切れ目”のあたりに位置する。ホームの駅名標は「健磐龍命(たけいわたつのみこと)が水路を開こうと外輪山を蹴りやぶった。このとき力あまって尻もちをつき『立てぬ』といわれたのが訛って地名となり駅名となった」と由来を解説している。ここから阿蘇側の赤水駅までの200m近い標高差を克服するため、列車の進行方向を2回変える「3段式スイッチバック」が路線の見どころの1つだ。

2016年4月の熊本地震とその2カ月後の大雨で、同駅の熊本寄りにある瀬田駅から赤水駅にかけて山の複数の斜面が崩壊。とくに阿蘇大橋地区は、熊本・大分両県を結ぶ主要道路の国道57号が地震による山腹の大規模崩壊で土砂に埋め尽くされる大災害となった。

豊肥線はこの区間を含む肥後大津―阿蘇間27.3kmが現在まで不通となった。赤水駅付近では試運転中の列車も脱線、搬出するまで半年近くがかかった。

復旧に当たっては、まず2次災害を防ぐため、国や熊本県が山の数百m上から崩れた斜面を修復・補強。その後にJRが線路の復旧にとりかかるという、地震による被災ならではの気が遠くなるような工程を要した。

■立野駅が復旧の拠点に

立野駅のホームはもともと約120mの乗降場だったが、現在の編成の長さに合わせて約90mの長さで復旧。工事は比較的早期の2018年に完了した。JR九州は「周辺の道路が狭いため、立野駅を先に復旧させて同駅を拠点にレールなどの工事資材を運搬した」と説明する。

肥後大津―阿蘇間が運休となっている間、熊本駅でも動きがあった。2018年春、主に豊肥線の列車が発着していた地上の0番線が廃止され、すべて高架ホームとなった。同時に高架下商業施設「肥後よかモン市場」がオープン。さらに2021年春に「アミュプラザくまもと」が開業することが決まっている。

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