トヨタ、「全車種販売」で勃発する顧客争奪戦 全国5000店は新たな競争のフェーズに入った
東洋経済オンライン / 2020年7月21日 7時0分
「トヨタ車ぜんぶ売ります!」「トヨタ全車取扱い」――。最近、トヨタの販売店では新たな売り文句が見られるようになった。2020年5月からトヨタ自動車が全車種の併売化に踏み切ったからだ。これを機にトヨタ系列の国内4チャネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ)の「専売車種」は廃止され、全国に約5000店あるトヨタ系のディーラーはすべての車種を扱えるようになった。
日本の自動車市場は1990年の777万台のピークから現在は約500万台まで縮小。トヨタの販売台数も1990年の250万台から直近は160万台前後に減った。市場が縮小する中、チャネルごとの”すみ分け”をやめてオールトヨタで販売台数の維持拡大に動き出したわけだ。これはトヨタの販売店同士が新たな競争のフェーズに移ったともいえる。
■3代目プリウスで「併売化」を覚悟
もっとも、複数の有力販社のトップは「いずれ全車種併売化すると思っていた」と口をそろえる。そのタイミングは2009年に3代目プリウスが全チャネルで扱えるようになったときだという(初代プリウスはトヨタ店、2代目はトヨタ店とトヨペット店)。全車種併売化を見据えて、独自のサービスを磨いてきた販社もある。
取り扱える車種が豊富になれば販売面では有利に働く。現状、トヨタの国内市場におけるシェアは約3割。全車種併売化を機にホンダや日産自動車からシェアを奪うのが本筋だが、それぞれの地域で多くの台数を売るのは“身内”のトヨタ販社。そのため、グループ内の顧客争奪戦がヒートアップしているのが現実だ。
ほかのトヨタの店舗から顧客を奪おうと、早くも値引き攻勢に動く店舗も出てきた。一方、併売化を機に「県外の販社との提携、M&A、何でもありだ」と言う有力販社トップもいる。全国に地場資本が経営するトヨタ系列の販社は約270社。市場が縮小する中でどんな手を打つのか。販売店経営者たちの次の一手が問われている。
「週刊東洋経済プラス」では「トヨタ全車種『併売化』の衝撃」として国内販売店の最前線を4回に分けてリポートしています。
第1回 トヨタ国内チャネル「一本化」の必然
第2回「値引き券」に店長が絶句、顧客争奪戦で優勝劣敗は必至
第3回 異色のトヨタディーラー社長が明かす日本市場の戦法
第4回 過疎地の販売店に活路はあるか
木皮 透庸:東洋経済 記者
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