米国が次に中国に課す「決定的な制裁」とは何か 米中戦争は短期と長期の2つの視点で考えよ

東洋経済オンライン / 2020年7月29日 8時5分

アメリカのポンペオ国務長官は中国の習近平主席を名指しで批判。「対中国包囲網」の構築を呼びかけた。今後、アメリカが中国に仕掛ける「決定的な制裁」とは(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

アメリカと中国の関係が一段と悪化している。香港国家安全維持法が施行され、香港の「一国二制度」が崩壊。アメリカは対抗措置として香港自治法を成立させたが、今度は互いに総領事館を1つずつ閉鎖させた。米中関係の悪化でマーケットはどうなるのか。今後の行方を、武者リサーチ代表の武者陵司氏に聞いた。

■香港国家安全維持法は「白色テロ」

この間の流れは長期の本質的なトレンドと短期の展開とに分けて考えるべきであろう。まず長期、本質的トレンドは米中対立が決定的となり、いずれ中国経済が衰弱していくという流れだ。

米中の経済対立を「経済戦争」と表現したメディア、言論人は大勢いるが、正直なところ私は両国ともある程度の節度を持っていて、米中経済対立も、両国がある程度のところで妥協するのではないかと考えていた。

しかし、6月30日から「香港国家安全維持法」が施行されたことによって、状況は一変した。

香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、このとき「一国二制度」が導入され、中国のその他の地域には認められていない集会や表現の自由、それ以外の民主的権利など英領下における資本主義的な自由は返還後も50年間、維持されることになっていたはずだ。ところが、同法が施行されたことによって香港の高度な自治は消滅した。昨日まで自由にモノを言えていたのに、6月30日の午後11時をもってその自由が完全に剥奪されたのだ。

これは「白色テロ」といってもいい。白色テロとは為政者が反政府運動や革命運動に対して行う激しい弾圧を指す。

中国共産党政府による白色テロは香港に止まらず、次は台湾をターゲットにするだろう。そしてその後は日本の尖閣諸島に「食指」を伸ばし、沖縄をも視野に入れてくるはずだ。

自由主義陣営としては、こうした中国の「19世紀的帝国主義」を看過することはできない。拡大政策を採り続ける中国に対して、どこかの時点でノーを突き付ける必要がある。そうしない限り、中国はどこまでも自分たちの領土・領海を拡大しようとするだろう。自由主義陣営のリーダーであるアメリカが、指をくわえてこの状況を看過するとはとても思えない。

■アメリカは中国の「国家資本主義」を認めない

中国の勢力図拡大への野望は経済にもあてはまる。とくにハイテク分野における覇権争いでは、中国に圧倒的な勢いがある。例えば最先端の5G通信機メーカーはファーウェイで、通信基地局や5G標準必要特許件数のシェアはすでに世界トップだ。スマートフォンでもトップの韓国サムスン電子に肉薄している。

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