リニア「JR東海vs静岡」、わずかに和解の兆し? 県有識者会議で「JRに助言しては?」と提案も

東洋経済オンライン / 2020年8月3日 7時10分

7月16日に開催した国の有識者会議第4回会合(記者撮影)

「社会通念上の考え方の問題です」――。国土交通省と静岡県、リニア中央新幹線の静岡工区における工事着工をめぐって対立している両者の発言がめずらしく重なった。

南アルプストンネルの工事に関するJR東海と静岡県の議論を科学的・工学的に検証するために国は有識者会議を設置し、7月16日にその第4回会議が行われた。冒頭の発言は、会議後の記者会見での出来事だ。

静岡工区だけが工事着手できない状態で「2027年開業」のタイムリミットが迫る中、JR東海は「トンネル本体の工事は有識者会議の結論が出るまで行わないので、トンネル工事とは異なる坑口整備などの準備工事だけでも先に着手したい」と要望した。

JR東海と国は、トンネル工事と準備工事は別物と考えている。だが、静岡県の川勝平太知事は、両者は一体だとして首を縦に振らない。JR東海の金子慎社長、藤田耕三国交事務次官(当時)がそれぞれ知事に直談判してもらちが明かなかった。

■重要なのは「準備工事」だけではない

だったら、トンネル工事と準備工事が一体なのかどうかを有識者会議で議論したらどうか。記者のこんな質問に対して国交省の江口秀二大臣官房技術審議官と静岡県の難波喬司副知事はともに否定した。その理由として挙げたのが冒頭の「社会通念上の考え方」だ。

社会通念上、トンネル工事と準備工事は同じなのか、別物なのか。国は別物と考えており、県は一体だと考えている。両者の「社会通念」は、これほどまでに違う。

どちらが正しいのか。江口審議官といっしょに記者会見に出席した有識者会議の福岡捷二座長(中央大学研究開発機構教授)は、「有識者会議が議論することではない」として明言を避けた。

準備工事の先行実施は結局認められなかったが、それはリニア早期開業を左右する決定的な要因ではない。工期は3カ月程度とされており、仮に準備工事が今スタートして10月に工事が終わったとしても、それまでに有識者会議でトンネル工事のゴーサインが出ないと、トンネル工事はできないからだ。つまり、準備工事の先行実施も重要だが、トンネル工事を行うためには有識者会議の結論はさらに重要なのだ。

有識者会議は4月27日に第1回会議が開催されてから3カ月を経て、ようやく4回目が終わったばかり。もともとは「1~2週間に1度」のペースで行う予定だったので、本来なら現時点で10回以上開催されていてもおかしくはない。

とくに6月2日開催の第3回と、7月16日開催の第4回の間には1カ月半の空白期間がある。この間にJR東海と県、国と県がそれぞれ県とのトップ会談を開催したことが会議のスケジュールに影響したのかと思ったが、JR東海の宇野護副社長は「委員から要望のあった資料の作成に時間がかかった。1カ月半でも足りなかったくらいだ」と明かす。

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