ヒューリック、不動産業界で「一人勝ち」の事情 目標は毎期100億円増益、コロナが問うその実力

東洋経済オンライン / 2020年8月5日 8時0分

不動産各社の業績が伸び悩む中、ヒューリックは野心的な経営目標を掲げている(記者撮影)

新型コロナの影響をほとんど感じさせない決算だった。

大手不動産会社のヒューリックは7月29日、2020年12月期の上期(1~6月)決算を発表した。営業利益は469億円と、前年同期比で2割増益を確保。通期の営業利益計画も、前期比13.1%増の1000億円とするこれまでの数値を据え置いた。

三井不動産や三菱地所といった大手を含め、不動産業界では今期の通期業績を減益で見通す企業が多い。東洋経済の集計によれば、6月中旬時点で今期を営業増益とした上場不動産会社はわずか13%。横ばいですら御の字という不動産業界にあって、ヒューリックは一人気を吐いている。

■オフィス、商業施設賃貸が牽引

三井や三菱といった財閥系不動産会社と比べると、一般に馴染みのないヒューリックだが、不動産業界内では近年存在感を増している。不動産賃貸と売買が事業の柱で、時価総額は約6300億円。三井不動産、三菱地所、住友不動産の大手3社に次ぐ規模を誇る。

主力事業の1つである不動産賃貸事業は、コロナ禍にも関わらず、賃貸収入の63%を占めるオフィスビルが堅調だ。テナントからの賃料減免要請はほとんどなく、解約があったビルでも後継テナントがすぐに決まり、中には退去前よりも高い賃料で成約したものもあった。

賃貸収入の14%を占める商業施設でも、固定賃料中心の契約形態が奏功し影響を抑えた。営業益ベースで計画比マイナス20億円となったホテル・旅館事業をカバーした形だ。

もう1つの柱である不動産売買についても、緊急事態宣言時は一部取引で遅延が生じたものの、投資家の旺盛な需要が追い風となった。

「運用難を背景に、(不動産投資に対して)アグレッシブな投資家は相当いる。われわれがこれ以上出せないと判断した価格のさらに上(の価格)で取得する投資家もいる」

8月2日に行われた決算説明会で、ヒューリックの吉留学社長はコロナ禍でも不動産投資の熱が冷めていないことを説いた。

コロナ禍でもヒューリックが好調だった理由は、ほかの大手デベロッパーと違って都心かつ駅近の収益物件開発や売買に特化し、環境変化の波を受けやすい住宅分譲や海外案件に手を出していないためだ。

1957年に「日本橋興業」の名で創業した同社は、もともとは富士銀行(現みずほ銀行)の店舗が入居するビルを賃貸・管理していた。銀行という太客が生み出す安定収益に長らく安穏としていたが、みずほ銀行副頭取だった西浦三郎氏(現会長)が2006年に社長に就任すると、「変革とスピード」を掲げた拡大戦略を推し進める。好立地かつ容積率を余らせていた銀行店舗ビルを次々と建て替え、賃貸事業を拡大させていった。

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