新型コロナ、「2週間後」予測はなぜハズレるのか 高橋泰教授「データに合う新型コロナ観を持て」

東洋経済オンライン / 2020年8月7日 8時20分

GoToトランベルキャンペーンで新型コロナの感染の実態はどうだったのか(写真:時事)

新型コロナの「PCR陽性者数」が増加するたびに、「2週間後の日本」「2週間後の東京」について、重症者や死者の急増を予測する「専門家」たちがいる。しかし、実際は重症者も死者もほとんど増えず、予測は当たっていない。その原因は、当初思い込んだ「新型コロナにかかれば死ぬ」という恐怖の「コロナ観」にこだわっているからではないか。「感染7段階モデル」が話題になった高橋泰教授は、事実に即した「コロナ観」に修正していかないと対策も誤る、と話す。(ご参考:『新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ』、『高橋泰教授が新型コロナをめぐる疑問に答える』)

■「恐怖のウイルス」という思い込み

――足元でPCR検査により陽性と判明する人の数が増えており、不安に思っている人も多いようです。4月と同様に「2週間後」に欧米並みに人がたくさん死ぬという予測を続けている専門家も複数います。当たらないので予測というより「予言」という感じですが。

6月からの緊急事態宣言の全面的な解除、そして、7月22日からのGoToトラベルキャンペーンを通じて、むしろ、コロナは「恐怖のウイルスではない」ことが示されていると思う。

世間でいう感染者、すなわち検査陽性者はかなり増えているのに、重症者・死者はそれにつれて増加する姿になっていない。重症者は集計上のズレが大きくでこぼこしているが、4月の状況と比較すると重症者・死者は本当に低水準にとどまっている。

コロナは風邪のウイルスの仲間だが、正体がよくわからず、2月から3月にかけて武漢や欧州で死者が急増したので、「恐怖のウイルス」というイメージができてしまった。防護服など感染症の中でも恐ろしい「エボラ出血熱」に準ずる扱いがなされたり、そこまでいかなくてもインフルエンザと同等以上の毒性を想定する人が多かった。したがって、感染自体が過度に恐れられた。当初は「最悪の事態を予想して備える」というのは感染症対策の定石だ。

しかし、もう6カ月も経って、さまざまな研究成果やデータが出てきた。新型コロナ観を修正すべきだ。「タイムラグがあるので2週間後に重症者や死者がぐっと増えてくる」と主張する人は当初の「恐怖の新型コロナ観」をずっと引きずっているのだと思う。

――人によって見えている新型コロナの性格が違う。そのことを上のような図にしてみました。簡単に説明してください。

私の新型コロナ観をAとしましょう。新型コロナは、毒性は弱いが、暴露力は非常に強い。その結果、これまで国民の3分の1から半数がすでに新型コロナに暴露しているが、そのうち98%程度は、自然免疫などの働きにより自覚がないまま無症状か軽い風邪のような症状で治っている。ひどい風邪症状などになるのは暴露者の2%程度で、この人たちの一部は肺炎になる。さらに、このうちのごく一部はサイトカイン・ストームを起こして重症化するが、0.001%以下だ。

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