アフターコロナはバブルになる可能性が大きい 適応的市場仮説でコロナ後の市場を考えてみた

東洋経済オンライン / 2020年8月8日 8時0分

「アフターコロナ」のマーケットはどうなるのか?「ある仮説」を使って考えると、見えてくるかも知れない(写真:AP/アフロ)

今回は「コロナ後のマーケット」を考えるうえで、ある興味深い仮説を紹介することから始めよう。

それは「適応的市場仮説」である。経済学者のアンドリュー・W・ローが提唱している理論的枠組みで、市場の振る舞いや人間の行動を、環境への適応の観点から説明しようとするものだ。

■「適応的市場仮説」では人間をどう考える?

ローが最初に論文を発表したのは2004年だが、筆者は割合早い時点からこの理論に注目していた。

個人的な話で恐縮だが、2007年に出版した一般向けの株式投資の解説本(『新しい株式投資論』、PHP新書)では、この説を好意的に紹介している。

筆者の不勉強もあって、その後の研究の進展に気づかなかったが、このほど「Adaptive Markets 適応的市場仮説」(望月衛訳、東洋経済新報社)というタイトルで、この理論と周辺の研究を包括的に紹介した一般向けの書籍の翻訳が出版された。

本文が600ページ以上に及ぶ大著だが、投資理論に興味のある方にとっては、注釈、引用文献まで含めて、舐めるように精読しても損のない本だ。筆者は、7月下旬の4連休に、どこにも「Go To」せずに読みふけった。過去15年分くらいのこの分野の読書で得た諸々の知識が整理された気分になった。

適応的市場仮説は、人間を合理的な計算装置ではなく「生物学的存在」として理解する。人間は、進化の結果としてゆっくり変化してきた生物的特徴(例えば、急に恐怖を感じた時に冷静な計算や論理的思考が止まる)の影響と、環境からのフィードバックを受けて思考を変化させる「思考のスピード」で変化する行動パターンの影響と、二つの影響を受けながら、意思決定と行動を変化させる。後者は、過去にどのような経験があったか、直近の経験がどのようなものであったか、といった事実が辿った時間的な経路に大きく依存する。

「コロナ」が大きな影響を与えている今日のマーケットと、その先行きを考える上で「適応的市場仮説」が幾つかヒントを与えてくれそうだ。

今年の3月にかけて内外の株価が急落した「コロナショック」は、株価の下げの大きさと何よりもそのスピード、そして、株価の戻りのスピードが「意外」であった。

伝統的な金融論の意味で合理的に解釈しようとすると、例えば、コロナが経済に与えると予想されるマイナスのインパクトが当初非常に大きくて、その後に幾らか小さく修正された、というような市場参加者の「期待」(予想の平均)の変化が対応しなければならない。だが、この間、中国を除き先進国を中心として、経済成長率見通しはほとんどがマイナス幅拡大の方向に変化していた。

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