東芝、「薄氷の選任」車谷社長に待つ次の難題 株主総会での賛成比率は6割弱、広がる楽観論

東洋経済オンライン / 2020年8月12日 8時0分

東芝の車谷暢昭社長兼CEOは7月末に開かれた株主総会で薄氷の勝利をおさめた(撮影:尾形文繁)

まさに薄氷の勝利だった。

東芝が7月31日に開いた定時株主総会で、車谷暢昭社長兼CEOの取締役選任案への賛成比率は57.96%にとどまった。

総会ではアクティビストファンド(モノ言う株主)とされる外資系投資ファンド2社がそれぞれ独自の取締役候補を提案して東芝と対立。車谷氏は過半数を獲得して取締役に選ばれたが、ギリギリの信任となった。

■エフィッシモの候補は4割超を獲得

東芝が8月4日に関東財務局へ提出した臨時報告書で判明した。車谷氏への反対比率は18.96%だった一方、総会当日の議決権比率で約15%保有していた筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメント(シンガポール)の創業者で、旧村上ファンド出身の今井陽一郎氏が43.43%の賛成を集めた。反対は54.77%だった。

エフィッシモはほかに、弁護士の竹内朗氏と元花王執行役員の杉山忠昭氏を候補に提案しており、賛成比率はそれぞれ41.95%、37.68%だった。もう1つの3Dオポチュニティー・マスター・ファンド(シンガポール)が提案した2人の候補者の賛成比率はいずれも31.14%だった。

エフィッシモは、東芝のグループ会社で1月に発覚した架空・循環取引を問題視。東芝が公表した調査報告書が不十分でガバナンス上問題があるとして、独自の取締役候補を提案していた。ゴールドマン・サックス証券日本法人出身の長谷川寛家氏らが設立した3Dも、「形式だけではない本質を伴うコーポレート・ガバナンスを整備すべき」と指摘し、2人の社外取締役の選任を要求するとともに、車谷氏に反対の議決権を行使すると言明していた。

2019年の株主総会で東芝は、アクティビストファンドからの推薦を含めて外国人取締役を4人、取締役12人のうち10人を社外取締役にする取締役選任議案を提案した。これが支持されて車谷氏への賛成比率は99・43%にも達したが、2020年はアクティビストファンドからの提案にいずれも反対を表明していた。

そのため、総会前には一時、「車谷氏の再任は(再任に必要な過半数である)50%スレスレの攻防になる」(ファンド関係者)との声もあがっていた。

さらに、アメリカの議決権行使助言会社、インスティチューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスの判断も注目を集めた。機関投資家に影響力のある両社がエフィッシモ側の提案に賛成したり、東芝側の提案に反対すれば、車谷氏の再任が危うくなる可能性があった。

■東芝の攻防ラインは「55%」

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