リモート参列も現れた「ウィズコロナの葬儀」 通夜振る舞いは省略、座席配置もソーシャル

東洋経済オンライン / 2020年8月13日 7時30分

デジカメやスマホ、タブレットを駆使して、リモートで参列してもらうサービスもある(写真:燦HD)

「大変心苦しかったが『それではお引き受けできません』と断ることもあった」――。

新型コロナウイルスに感染した、あるいはその疑いのある場合の葬儀について、公益社の取締役セレモニーサービス部長、北条崇氏は語る。公益社は、東証1部上場の燦ホールディングス(HD)の中核会社で、近畿圏と首都圏で直営葬儀会館を展開する大手葬儀会社だ。

感染者もしくは感染の疑いがある場合、遺体は非透過性納体袋に入れて外側を消毒してから棺に納め、隙間に目張りを施して密閉する。公益社では、その状態でないと、遺体を引き取って搬送しない。感染者の遺体は密閉されたままの状態で火葬場へ直接搬送。疑いのある場合、感染の有無が判明するまで安置、その結果に応じて対応することが多い。

やむをえないときに限り、納棺については防護服の着用など、感染対策を万全にして自社で引き受ける。ただし、病院などに納棺の場所を提供してもらうのが条件。判明前の遺体も一部の限定した自社施設で安置することがある。

■コロナ禍で病院や警察への説明に奔走

2月にいちはやく公益社は「新型コロナウイルス対策本部」を設置。厚生労働省などからガイドラインが出ていない中、感染予防のためのマニュアルを作成し、全従業員に徹底させた。

当初は個人病院などで混乱が生じ、死因や感染の可能性などについて、十分な情報が得られないこともあった。その場合、遺族や参列者、社員を感染から守るために、葬儀を断るという苦渋の選択をせざるをえなかった。社長名で自社のマニュアルに関する文書を作り、病院や警察などの関係者に何度も説明に回って、理解を得るよう努めることで、現在は改善されてきている。

新型コロナ対応の葬儀については、通常よりも確認事項が多く、自治体ごとに取り扱いが異なり、また変更されることもある。病院や火葬場とのやり取りは、できるかぎり引き受け、遺族の負担を軽減する。こうした対策が評価され、最近では、これまで取り扱いのなかった病院から連絡がくることも増えたという。

公益社では全国霊柩自動車協会の会員として、1985年の日航機123便の墜落事故の際には搬送業務などを支援。1995年の阪神・淡路大震災では、西宮山手会館を拠点に納棺や火葬場との交渉、搬送などに従事。2011年の東日本大震災のときは、救援物資の協力や、エンバーマー(遺体衛生保全士)を派遣して遺体のケアや納棺を手伝った実績がある。

なお、エンバーミングとは遺体に消毒殺菌・防腐・修復・化粧を施す技術。感染症対策になり、遺体の状態変化が軽減されるため、すぐに葬儀が難しい場合でも、遺体を安全に保存できる。ただし、新型コロナ感染者については有効性に関する科学的根拠が現状ではないため、公益社では実施していない。

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