PTAの「人やお金の動かし方」に猜疑心が募る訳 アゴ足つきの宴会、保険PR、割り当ては適切か

東洋経済オンライン / 2020年8月14日 7時5分

今年は新型コロナウイルスの影響で多くの人が集まる会合がほとんどないが、7月末には関係者が「米騒動」と呼ぶ、教育委員会とPTAの関係を象徴するような「騒動」が起きた。

福島県南会津町にある「さいたま市立舘岩少年自然の家」では、さいたま市内の小中学生が夏と冬に「自然の教室」を開いてきた。ところが、新型コロナの影響で夏の教室が中止になり、米を確保していた業者が自然の家の所長に相談した。

所長からその話を聞いたさいたま市PTA協議会の岡野会長は、7月27日付で傘下のPTAに「支援のお願い」を送った。5キロ入り1袋を自然の家からの送料を含め、1915円で買ってほしいというものだったが、「各校PTA様に2箱(8袋)ずつ引き受けていただきたい」「可能なPTA様には3箱(12袋)を引き受けていただくと助かる」という内容を、所長からの依頼として書いて送ったのだ。

行政区ごとのPTA連合会が取りまとめて集約することになっていたが、回答は「2箱(8袋)を引き受けます」「3箱(12袋)を引き受けます」「その他」から選ぶ様式で、最初から2箱か3箱を「割り当て」しているように見える。

各PTAに「割り当て」をしているような内容に、さいたま市PTA協議会や各区のPTA連合会には各PTAから問い合わせや苦情が寄せられたという。岡野会長は7月30日付で「南会津産お米の購入に関わる訂正について」とする文書を出し、所長から「各校PTA会長様はじめ多くの保護者様に混乱やご迷惑をおかけしましたと、謝罪と訂正がございました」と伝えて、「米の購入について、強制するものではございません」と、「割り当て」を事実上撤回した。

■教育委員会や行政の言うなりに

こうした動きに、複数のPTA会長から「行事や会議への動員と同じで、教育委員会や行政の言うなりに動いて、われわれには上から命じる姿勢に疑問を感じる」という声がでている。結局、30校近いPTAが買い取りに応じなかったが、4箱以上を買うPTAも30校以上あったという。

PTAを担当する市教委生涯学習振興課は「行政としても、なんでもかんでもPTAにお願いするのはよくない。会議への出席依頼を含め、PTAとの関係を見直したい」と話している。

さいたま市PTA協議会が今年1月に発行した「ガイドブック」には、「PTAは『子どもたちの学ぶ環境をよくしていきたい』という保護者と先生方の自発的な気持ちから成り立っています」と書かれている。「動員」や「役員の強制」などとは無縁のはずだが、現実には多くの不満の声がある。戦後にPTAができて70年以上が過ぎた。学校現場をよくするという視点から、組織のあり方や資金の集め方を含めて抜本的な見直しをするときだろう。

松浦 新:朝日新聞記者

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