東急・JR北海道「豪華列車」出発までの全ドラマ 「ザ・ロイヤルエクスプレス」きょうスタート

東洋経済オンライン / 2020年8月28日 15時10分

関係者に見送られながら札幌駅を出発する「ザ・ロイヤルエクスプレス」=8月28日(記者撮影)

「新たな北海道の観光と鉄道の旅の第一歩だ」――。鈴木直道北海道知事があいさつを述べた後、2台のオレンジ色の機関車にけん引されたブルーの車両が動き出した。2020年8月28日11時02分、豪華列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」が札幌駅を出発した。列車は池田―釧路―川湯温泉―知床斜里―北見―遠軽―旭川―札幌というルートを走り、乗客は列車とバスを併用しながら3泊4日の道程で北海道の自然と食を堪能する。

この列車を所有するのは東急電鉄で、旅行商品の企画、販売、さらに運行中の車内サービスなども東急が行う。運転はJR北海道が担当する。さらにJR貨物が東急の車両を北海道まで運び、JR東日本も別の観光列車をJR北海道に貸し出した。鈴木知事は鉄道4社によるコラボの理由について、「2018年9月の北海道胆振東部地震をきっかけに、鉄道で北海道を応援しようということでスタートした」と説明する。しかし、その背景にはもっと深い事情がある。

■4社協力のプロジェクト

ザ・ロイヤルエクスプレスの北海道乗り入れの話が正式に発表されたのはおよそ1年半前のことだ。2019年2月12日、東急、JR北海道、JR東日本、JR貨物が東京都内で共同記者会見を開き、4社が協力して北海道に複数の観光列車を走らせると発表した。JR東日本の観光列車「びゅうコースター風っこ」と東急のザ・ロイヤルエクスプレスだ。

では、なぜ、東急の豪華観光列車が北海道を走るのか。ほかのJR旅客会社同様、JR北海道も観光列車戦略には力を注いできた。1987年の同社発足以降、トマムやニセコなどのスキー場の最寄り駅と札幌を結ぶリゾート列車を走らせていたし、「旭山動物園号」は全国的な人気を誇っていた。現在も夏季には釧路湿原や富良野を走る「ノロッコ号」、冬季にはオホーツク海の沿岸を走る「流氷物語号」といったラインナップがある。

しかし、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」が成功を収め、JR東日本やJR西日本も豪華列車戦略に乗り出していた。北海道にも同様の列車が走ってもよいのではないかという観点から、道は2016年ごろからJR北海道に対して、ななつ星のような列車も視野に入れた観光列車の導入運行を働きかけていた。だが、経営危機に陥っているJR北海道には何十億円もの製造コストがかかる列車を造るだけの資金がない。そこで、国は国内外から鉄道事業者を公募して、JR北海道の線路の上に観光列車を運行させるという構想を2018年に打ち出した。

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