今の40歳前後に苦しい生活を送る人が多い因縁 中年格差を生んだ就職氷河期とは何だったのか

東洋経済オンライン / 2020年9月1日 10時10分

その格差はどこから来たのか(写真:Wacharaphong/iStock)

1990年代半ばから2000年代前半の「就職氷河期」。その影響を全面に受けた世代が今、大きな格差に直面している。一度レールから落ちてしまった人に厳しい日本社会の特徴が、就職時期に「機会の平等」を享受できなかった中年世代の上に重くのしかかっている。

しかし、それは決して特定の世代の問題ではない。格差問題に取り組み続けている橘木俊詔氏の新刊『中年格差』から、本書の一部を抜粋・再編集してお届けする。

■今の中年世代は若い頃に就職探しに苦労した

2019年の末に、兵庫県宝塚市は中年世代(30代半ば~40代半ば)を対象に、正規職員3名を募集した。なんと1816名の応募があった。受験者1600名ほどで採用が4名だったので、競争率は400倍という想像を絶する過酷さであった。中年世代でまともな職を希望する人が実に大人数いることの象徴であった。

今の中年世代は、就職氷河期に求職したが、正規としての仕事が少なく、多くの人が無職か、職があっても非正規という仕事が多かった。これらの中年世代は、今、経済的に困窮しているのに加えて、社会的にも不利な人生を送っている。

例えば結婚できないでいるとか、社会保障制度に加入できないとか、引きこもりになるとか、不安な人生を送っている人が少なからずいる。その証拠は、中年世代における自殺率と離婚率の高さによって確認できる。

その源泉をたどれば、これらの人が若い頃に就職探しに苦労したことに原因がある。それは就職氷河期(1993~2005年)と称される時代に就職しようとした若者であり、それらの人が今の中年になって、種々の課題を背負いながら生活をしていることを意味している。

就職氷河期とは何であり、どういう時代であったか。

就職氷河期を理解するには、まずは日本の労使関係の特色を理解しておいたほうがわかりやすい。かつてOECD(経済協力開発機構)は次の3つを日本の労使関係の「三種の神器」と称した。

① 終身雇用
② 年功序列
③ 企業別労働組合

日本の高度成長をもたらした要因の1つとしてこの特色を積極的に評価したのであった。終身雇用(長期雇用)は労働者が1つの企業に長い間勤務する、年功序列は労働者の賃金や昇進を勤続年数に応じて決定する、企業別労働組合は欧米のように産業別や職業別に労働組合を結成するのではなく、1つの企業に勤める労働者だけで1つの労働組合を組織する、ということである。

この3つの制度、実は大多数の労働者に該当するのではなく、それほど多くの労働者がこの制度の中にいるのではない。

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