失敗か成功か、8年弱のアベノミクスで得た教訓 ポスト安倍政権が踏まえるべき5つのグラフ

東洋経済オンライン / 2020年9月2日 7時10分

政権奪還を実現する直前、アベノミクスを柱とした衆院選公約を発表する安倍晋三首相(2012年11月12日)(撮影:尾形文繁)

安倍晋三首相が健康問題を理由に辞意を表明したことで、8年弱に及んだアベノミクスはひとまずピリオドを打つ。現在本格化している後継者選びの結果次第では、アベノミクス的政策が継続される可能性は小さくないが、まずはこの8年弱をデータで振り返り、何が成功し、何が誤算だったのかを振り返ってみよう。

■経済成長と財政健全化の両立が課題だった

アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」で構成された。日本銀行による国債の大規模購入など異次元の金融緩和政策、防災・減災・国土強靱化の公共事業支出がその中心を担った。

もうひとつの基本的メッセージは、「経済成長なくして財政再建なし」だ。公的債務残高約1100兆円(GDP<国内総生産>比約2倍)と先進国で突出した最悪水準にある財政について、経済成長にともなう税収増を重視して、増税などの負担増は極力避ける姿勢をとった。

安倍首相在任中に2度の消費増税が実施されたが、これは第2次安倍政権より前の野田佳彦・旧民主党政権が自民・公明との3党合意で決めたものだ。安倍首相自身は終始、増税には消極的なスタンスであり、「経済成長を実現すれば、税収増を通じて財政健全化の課題は解決する」という論法で一貫していた。

このようなアベノミクスについて、当初描いた将来想定と実際の帰結では、どんな相違があっただろうか。それを具体的に検証するには、第2次安倍政権が発足当初に、アベノミクスの成果を前提として策定した「中長期の経済財政に関する試算」(2013年8月8日公表)を見てみるといい。ここでの将来推計値と実績値を比較してみよう。

まずは、経済成長だ。

アベノミクスは当初、異次元の金融緩和政策が、金融マーケットにサプライズを与え、円安・株高を演出した。それを追い風に高額品を中心とした個人消費が拡大し、2013年度の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比2.8%増のロケットスタートを見せた。だが、早くも翌2014年度には、消費増税による成長率の落ち込みが想定以上に大きくなり、その後も低迷した。特に2018年度からは年率2%の目標から大きく乖離している。

ただ、安倍政権下では、成長率が目標に達しなかったというだけで、実際の景気は決して悪かったわけではなかった。若年人口の減少を背景とした人手不足がキーワードとなり、企業が非正規雇用から正規雇用への転換を含めて採用活動を積極化したのは、新型コロナ禍以前の記憶として鮮明だ。完全失業率の推移では、アベノミクスの成果想定を上回り、歴史的な低水準となっている。

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