りそなが中小企業の「承継」で見せる決死の覚悟 100億円規模の事業承継ファンドを立ち上げた訳

東洋経済オンライン / 2020年9月10日 7時25分

事業承継に悩む中小企業経営者の選択肢が増えている(東洋経済オンライン編集部撮影)

「とうとう銀行も本気を出してきた」。事業承継支援を専門に手掛ける公認会計士は、最近の銀行の取り組みについてこんなふうに評価する。

中小企業にとって、事業承継は目下の最重要課題だ。経営者が高齢化する一方で、後継者はなかなか見つからない。このまま何の手も打たなければ廃業に追い込まれ、長年育ててきた会社のみならず、培ってきた技術や文化までも失われてしまう。

事業承継問題は、実は銀行にとっても死活問題。顧客である企業が倒産や廃業に追い込まれれば、お金を貸し出すという銀行の“本業”も縮小してしまうからだ。だからこそ、銀行も事業承継支援にアクセルを踏んでいるわけだ。

中でも注目を集めているのが、りそなホールディングスが2021年1月をメドに設立する「事業承継ファンド」だ。

『週刊東洋経済』9月7日発売号は、「得する事業承継 M&A」を特集。事業承継を支援する事業者の動向に迫り、りそな銀行の岩永省一社長へのインタビューも掲載している。

■中小企業に100%出資する本気

このファンドは100億円規模。後継者が見つからない企業の株を引き受け、後継者や売却先を探す。銀行から人材を派遣したり、外部の人材と協力したりしながら、会社の価値を向上させる。専門家の手で、“承継したい会社”に成長させるのだ。

このファンドが注目を集める理由は、中小企業に対し原則100%出資することにある。従来、銀行には「5%ルール」という規制があり、企業への出資は5%までと制限されてきた。しかし2019年秋に規制が緩和され、事業承継を目的とした場合に限って最長5年間上限なく出資ができるようになった。これを最大限活用した形だ。

これまでも、銀行が事業承継支援ファンドを設立する動きはあった。当然、それらのファンドも100%出資は可能になったが、50%以下の出資にとどめているケースが多い。というのも、100%出資をすればリスクもすべて背負わざるをえなくなるからだ。それに対して100%出資するりそなは、それだけ本気といえるだろう。

通常、銀行は預金を集めて企業に融資をするのが基本的なビジネスモデル。リスクを取って“手金”で支援することに対しては懐疑的な声もある。しかし、りそな銀行の岩永省一社長は、「かつての銀行は企業の懐に深く入り込み、成長を支援していた。改めてそうした原点に戻る」と意気込みを語る。

銀行が変わってしまったのはバブル崩壊以降。不良債権の処理が遅々として進まず自己資本が毀損、銀行自身が存亡の危機に瀕したからだ。そのため、なりふり構わぬ不良債権の圧縮に走り、貸し渋りや貸し剥がしを進めていった。そうした状況が落ち着いた後、超低金利時代が到来。企業も金余りが続き、より安い金利で貸し出す金利競争が常態化してしまった。

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