老いなき世界「人生のゴール」は無意味になる 「成長」から「持続」へと変化する人生の価値観

東洋経済オンライン / 2020年9月20日 7時35分

「老いなき世界」を、社会はどう迎え、ビジネスはどうシフトし、私たちはどう生きるべきか(写真:Fast&Slow/PIXTA)

人生100年時代とも言われるように、人類はかつてないほど長生きするようになった。しかし、私たちはよりよく生きるようになったと言えるのだろうか?
もし、いくつになっても若い体や心のままで生きることが可能となったとき、社会、ビジネス、あなたの人生はどう変わるのだろうか?

待望の日本語版が刊行された『LIFESPAN(ライフスパン)』で、老化研究の第一人者であるデビッド・A・シンクレア氏(ハーバード大学医学大学院遺伝学教授)は、人類が「老いない身体」を手に入れる未来がすぐそこに迫っていることを示す。

「新しいものを怖いと思うか、面白いと思うか。どちらのマインドセットを持つかによって、拓ける道が変わるのではないでしょうか」──そう語るジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「いつまでも若く健康なまま生きられる」未来をどう見るのか。前半に引き続いてお届けする。

■拡がる「文化的格差」と「健康格差」

『ライフスパン』には、経済的な格差が寿命の格差につながっていくということも書かれています。読み終えて、やはり、格差社会の幕開けになるのは間違いないと感じましたね。

医療を受けるにもお金がかかりますし、高額なサプリを買うにも、ジムに入会して毎日運動するにもお金がかかります。いくら寿命が延びても、病気になるリスクをゼロにすることはできないわけですし、健康寿命が80歳だとしても、その「健康」の状態にも個人差があるでしょう。メタボで苦労する人もいれば、そうでない人もいる。

20世紀に入って近代化してからは、どこの国でも、貧しい人ほど太っているというのが特異な傾向です。中世では、貧しい人は痩せていました。食料が足りない状態だからです。いまでも北朝鮮を見るとそうですよね。

しかし、一定の富が蓄積されて、食うに困る人がいなくなった瞬間に、今度は、貧しいほど太るという逆転が起きるわけです。

貧困はなにもお金がないことだけではなく、文化的な貧困というものもあります。例えば、お金が1万円しかないとき、米と味噌と納豆を買って、自炊しながら暮らす方法を知っている人と、そんなことがまったくできず、コンビニ弁当を買ってしまう人とで両極端に分かれてしまいます。

コンビニ弁当だと、1個500円だとして20個しか買えません。でも、同じお金で食材を買って食いつなげば、1カ月は余裕で生活できますよね。

しかし、そのような発想ができるかどうかは、その人が置かれている環境や、アドバイスできる人、支えてくれる人、ロールモデルとなる人がいるかどうかが大きく影響しているのです。なかには「パチンコに行ってお金を増やせばいい」と考える人もいて、そのような人は世間から非難されがちですが、要するに、そんな発想しか浮かばない環境に置かれてきたという貧困もあるわけです。

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