日本の「人質司法」は一体何がどう問題なのか 検察刷新会議で議論されている改革の焦点

東洋経済オンライン / 2020年9月20日 13時30分

新しい法務・検察行政のあり方とは?(写真:mits/PIXTA)

黒川弘務・前東京高検検事長の賭け麻雀問題や、元日産自動車CEOのカルロス・ゴーン被告に対する取り調べ方法が国際的な批判を浴びたことなどをきっかけに、法務省がこの7月、「法務・検察行政刷新会議」を発足させ、議論を続けている。

これまでの3回の会議では、身体拘束を長期間続け、密室での自白を迫るいわゆる「人質司法」にも話が及び、取り調べ時の弁護人同席について議論を求める意見も出ている。この問題について長年、倫理的側面から考えるべきだと指摘している指宿信・成城大学教授(刑事訴訟法)に話を聞いた。

■「弁護人同席は倫理的な問題」

森まさこ法相の私的諮問機関として設置された「刷新会議」は、8月27日までの3回目会議を経て、今後、座長らが論点を取りまとめる見通しだ。

森法相は刷新会議の目的について、カルロス・ゴーン被告に対する日本の刑事司法の在り方への国際的な批判などを念頭に「国民の期待を担う令和時代の新しい法務・検察行政のあり方」への議論を促している。法相が掲げたポイントは①検察官の倫理、②法務行政の透明化、③刑事手続きについて国際的な理解が得られるようにするための方策──の3つだ。

検察官倫理に関する海外の動きに詳しい指宿教授は「黒川問題も根源的には、日本に検察官の倫理的規制がないことが原因」と話す。これはどういう意味だろうか。指宿教授に少しずつ解きほぐしてもらおう。

──刷新会議の議論をどのように見ていますか。

「2010年に起きた大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざん事件後、『検察のあり方検討会』が設置されました。その時にも、私は検察官倫理を作るべきだと提案していました。今回もこの議論をすべきだと思います。諸外国には、検察官に対する倫理的な規定がある。他方、日本では検察官個人の良識、良心に委ねられています。コンプライアンスが重視される時代なのに、考えられない状態です」

「そもそも日本には、検察官倫理という言葉をタイトルに入れた論文が、それまで1本もなかったのです。法曹倫理や弁護士倫理はあるのに、検察官倫理はない。国家公務員の一般的な倫理しかないのです。(検察官は絶対に間違わないという)無謬主義であると同時に、検察官は不正をしないという神話、信仰があるのでしょう」

検察官の倫理とはどのようなものか。指宿教授は法曹専門雑誌『自由と正義』の2011年1月号で、その定義を「法の支配と人権を尊重する基本的な義務と責任」と示している。

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