4年で26倍!ダイハツ「普通車」が爆売れした訳 トヨタ子会社化で「脱・軽自動車」へ戦略を転換

東洋経済オンライン / 2020年9月22日 10時0分

そのため、1リッター車の自動車税と軽自動車税の差額は、以前は年額2万2300円だったが、今は1万4200円に縮まった。軽自動車には不利な条件で、ダイハツが小型車に力を入れる一因になっている。なお、ロッキー、トール、ブーンはいずれも1リッター車だ。

■トヨタからのOEMは増やさない

今後は、ミドルサイズセダン「カムリ」のOEM車である「アルティス」のように、ダイハツがトヨタから小型/普通車の供給を受けることもあるのか。この点も販売店に尋ねた。

「ダイハツがトヨタからの供給台数を増やすことはありません。ダイハツが販売に力を入れるのは、あくまでも自社で開発と生産を行う車種です。今はロッキー、トール、ブーンの3車で、エンジン排気量はすべて1リッターです。また新たに小型商用車の『グランマックス』も加えました。このクルマはトヨタ『タウンエース』の姉妹車ですが、インドネシアにあるダイハツの工場で生産される輸入車です」

要は、今後のダイハツは軽自動車に加えて、1リッターエンジン搭載のコンパクトカーにも力を入れるということだ。1.5リッターエンジンを用意する「ヤリス」までは取り扱いを広げないが、ロッキー(トヨタ版はライズ)、トール(同ルーミー&タンク)、ブーン(同パッソ)は、両ブランドで扱う。

パッソの機能と価格帯は、ヤリスと重複する。ルーミー&タンクも、今後発売されるといわれるヤリスをベースにした背の高いコンパクトカーに近い。従って、ダイハツのコンパクトカーが好調に売れると、トヨタへのOEMを行わないダイハツ専用の小型車が出てくることも考えられる。

なぜなら、ダイハツが1年間に小型/普通車を10万台以上売るには、トヨタ車と競わない以前の「シャレード」のような専売車種が必要になるからだ。

2019年にダイハツは小型/普通車を4万3695台登録したが、スズキは12万2031台に達した。これに対抗するには、ダイハツにもスズキと同様、専売の小型車が必要だ。

■ダイハツ、トヨタ、レクサスの棲み分け戦略

現行ブーンとトールが発売され、なおかつダイハツがトヨタの完全子会社になった2016年を境に、両社の関係と国内に向けた販売戦略は大きく変わった。

今ではトヨタとダイハツは実質的に一体で、レクサスも含め、3つの乗用車ブランドを国内展開している。トヨタブランドの価格帯は、実質的にヤリス1.5X(CVT)の159万8000円が下限で、これより安い領域と軽自動車がダイハツの守備範囲だ。トヨタブランドの実質的な上限は、「アルファード ハイブリッドS」の479万9000円あたりだろう。500万円以上は、今は商品力が弱いものの、レクサスブランドの価格帯になる。

今のトヨタは、小型/普通車では約50%の国内シェアを得ているが、ホンダや日産も軽自動車に力を入れているから、市場全体の占有率は約30%にとどまる。ダイハツと日野を加えたグループ全体でも、45%だ。今後のトヨタは、ダイハツとの連携を強めて合理化を図りながら、国内シェアを50%以上に高める方向へ進む。

トヨタから独立性を強めたダイハツが、ロッキーのような魅力を備えた1リッター車を投入すると、日本のコンパクトカー市場はさらに楽しく活性化するだろう。1リッターディーゼルターボを搭載した往年のシャレードのような、ユニークな商品の登場にも期待したい。

渡辺 陽一郎:カーライフ・ジャーナリスト

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