中国経済の近未来を決定づける「双循環」の行方 海外との交流は継続か、それとも縮小するのか

東洋経済オンライン / 2020年9月28日 7時50分

中国が「双循環戦略」を急ぐのはなぜか?(写真:gopixa/iStock)

米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。

独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

中国の「双循環戦略」(Dual Circulation Strategy)について関心が高まっている。「双循環」とは「国内循環」と「国際循環」の2つの循環を指す。この言葉は、今年5月14日の中国共産党政治局常務委員会の会議で最初に用いられた。そこでは「中国の巨大な市場規模と国内需要の潜在力という強みを生かして、国内と国際という相互に補完する2つの循環に基づく新たな発展のパターンを確立する」ことがうたわれた。

中国は今年10月開催予定の共産党第19期中央委員会第5回全体会議で第14次五カ年計画を策定する予定だが、「双循環戦略」はその中心テーマになる可能性がある。この概念を推進しているのは、習近平主席の信頼が厚く米中貿易交渉で中国側のリーダーを務めた劉鶴副首相と言われている。

ただ、詳細が決定・発表されていないこともあり、人により受け止め方や理解が異なる。「双循環」を、従来からある内需重視政策の延長で、外部との経済交流は継続し、中国経済の改革にもつながるものと考える人々もいる。逆に、「双循環」は、外部との交流を縮小のうえで自力更生を志向し、経済改革にはつながらないと考える人々もいる。中国はどちらの道を進むのか。

■外部交流継続・拡大の立場

外部交流を継続・拡大するものとの立場としては、8月14日付のChina Dailyの記事が挙げられる。同記事は、改革・開放政策の下で中国は発展を遂げるが、沿海部と内陸部の格差が拡大、1990年代にすでに内需を重視したバランスある発展の重要性が認識されていた。2006年には、内需を増やし、投資、国内消費、輸出のバランスを重視することを政策決定していたとして、過去との継続性を強調。そのうえで、「外との扉を閉ざすものではない」とし、「国内市場の拡大は、国内金融市場や対内投資をより対外開放し、輸入も拡大する」と主張する。

また、中国人民大学・経済学部のLi Yiping教授も、習近平主席が今年7月21日に北京の企業関係者に行った講演で、外とのドアを閉ざす可能性を否定したと指摘。「国内市場と国際市場の双方が重要である」「国内市場を外にも開放する」「国内経済を中心に据えつつ海外経済とも統合し、世界経済の活性化にも貢献する」と主張する。

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