足立区の病院「クラスター発生→撲滅」の全記録 立ち入り調査きっかけに「職員の士気上がった」

東洋経済オンライン / 2020年10月2日 18時10分

この東京ルールは、今年に入り3月までは1日約20件発動されていたが、新型コロナ感染が拡大した4月から5月にかけて急増し、1日最大120件程度に達した。それに伴い、救急搬送件数で年間2700件~2800件程度の等潤病院で4月、前年比約6割増となった。

ゴールデンウイーク中は1日最大約40件の救急搬送があり、区外からの救急搬送も少なくなく、世田谷区や大田区からの患者もいた。国が緊急事態宣言を解除した5月25日以降も、前年比1割から3割増で推移した。8月17日以降は救急受け入れを制限したため1割増にとどまったが、同月前半の受け入れ増は顕著だった。(下図参照)

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■「うちが引き受けなければ患者は行き場をなくす」

院内からは、「周りの病院が怖じ気づいて、新型コロナ疑い患者を引き受けないのに、どうして等潤病院だけが受け入れているのか」という抗議もあったが、伊藤院長は「発熱の患者は、新型コロナ疑いだけではない。うちが引き受けなければ患者は行き場をなくしてしまう。2次救急病院の役割を果たして足立区を含めた近隣の最後の砦となるためには引き受けざるをえない」と説明して、受け入れを継続した。

東京都は6月30日に新型コロナ疑い患者に対応した「新」東京ルールをスタートさせた。「新」東京ルールでは、都が新たに指定した「新型コロナ疑い地域救急医療センター」病院が患者を必ず受け入れることになり、等潤病院も名を連ねることになった。等潤病院はこれにより初めて、公的支援を受けることとなった。

2次救急病院は、救急搬送依頼を断らず受け入れるのが原則だが、それでも生じる救急搬送患者の「受け入れ困難問題」に対応するために従来の「東京ルール」が創設された。このコロナ禍ではこの「東京ルール」では対応できなかったため、「新」東京ルールを新設せざるをえなかった。このこと自体がすでに、2次救急崩壊の危機を意味している。

7月から8月にかけて等潤病院の外来患者でも連日、PCR検査で陽性者がでるほど、疫学的に足立区に限らず都全体で新型コロナの感染が拡大。そういった状況の中で、等潤病院でクラスターが発生した。クラスターの定義は、感染者数でいうとおおよそ5人以上感染し、別の病室で感染者が出ることなどの事象を指す。

クラスターとなった7人のうちの6人の入院患者5人が、新型コロナ疑い患者として救急搬送されてきた。全員がほぼ高齢者で、1人は区外の介護施設からの患者だった。個室管理をしながら、PCR検査をして「陰性」を確認したので、一般病床に移した。

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