NTT社長が露骨に示した稼ぎ頭ドコモへの不満 完全子会社化は携帯料金値下げへの布石か

東洋経済オンライン / 2020年10月2日 15時0分

9月29日に会見を行ったNTTの澤田社長(左)とNTTドコモの吉澤社長(右)(写真:NTT)

巨艦NTTが虎の子であるNTTドコモを丸ごとのみ込む。

9月29日、NTTは約66%出資する上場子会社のNTTドコモを、TOB(株式公開買い付け)で完全子会社化すると発表した。買い付け総額は約4.3兆円と、国内のTOBとして過去最大となる。公正競争の促進を目的とした政府措置を受け、ドコモがNTT(1985年に民営化)から分離されたのは1992年のこと。28年を経て、再び一体化する。

折しも9月に就任した菅義偉首相は、携帯電話料金の一層の値下げに意欲を見せている。6月に総務省が公表した各国最大手事業者の携帯料金の価格差調査では、ドコモの高さが強調された(家族利用の割引などは考慮せず)。ドコモは国内シェア40%を超すトップ。KDDIのUQモバイルやソフトバンクのワイモバイルのような廉価の「サブブランド」を持たないため、政府からの“値下げ圧力”が強まるおそれが高い。

■値下げの余力はすぐに生まれる

NTTの澤田純社長は9月29日の記者会見で、「携帯料金の値下げと今回の件(完全子会社化)は別物。(政府による30%超の)出資を受けていることも無関係」としたうえで、「今後ドコモの財務基盤が強くなれば、値下げの余力は当然出てくる」とも語った。

だが実は、完全子会社化をすれば、値下げ余力はすぐに生まれる。NTTは完全子会社化で「少数株主持ち分」として取りこぼしていた30%強分のドコモの純利益を決算で取り込めるようになるからだ。今後、一定の値下げ影響でドコモの利益が減っても、NTTは100%分の利益を取り込めるので、減益を回避しうる。TOB成立後、NTTグループが早々に携帯料金の値下げを仕掛けて巻き返しに動く可能性も否定できない。

もっとも、ドコモ自身が上場したままだとそうはいかない。「業績悪化につながる値下げは、上場会社としては本来許されない」(SMBC日興証券の菊池悟アナリスト)からだ。一般株主に配慮すれば、ドコモが一段の値下げに動くことは難しかった。

NTTがドコモの完全子会社化を検討し始めたのが今年4月中旬で、6月に協議を始めたという。このタイミングで決めた理由について、NTTの澤田社長は、「ドコモの収入・利益が(国内通信会社の中で)3番手になったことが大きい」と不満を隠さなかった。この「3番手」という言葉を口にするたびに、澤田社長はドコモの吉澤和弘社長に「ごめんね」と声をかけるものの、吉澤社長は苦笑いを見せるのみだった。ドコモは携帯契約数でこそシェアトップだが、他社と違い値下げによる減益影響を埋めるものがなかったのが実情だ。

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