テスラが危なっかしいのに抜群の期待集める訳 EVベンチャーの「死の谷」乗り越え新境地へ挑む
東洋経済オンライン / 2020年10月5日 7時20分
「3年以内に2.5万ドル(約260万円)のEV(電気自動車)を実現できる。それも完全自動運転機能付きで、だ」
9月22日、EVメーカーの米テスラが開催した電池技術の発表会「バッテリーデー」で、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)はそう宣言した。同時に、電池のコストを半分にし、車の走行距離を5割以上伸ばす革新的な技術についても説明し、この新たな電池を、3年後にはテスラ自身が量産することが発表された。
これは、これまでニッチなプレミアム市場のプレーヤーだったテスラが、本格的にボリュームゾーンへ攻め込むことを意味する。同時に、EVのキーデバイスである電池をもテスラが牛耳る未来像を示した。
■時価総額でテスラが「トヨタ超え」
『週刊東洋経済』10月5日発売号は、「テスラvs.トヨタ」を特集。自動車業界が100年に1度の大変革期を迎える中で、核となるのはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)時代に向けた事業構造の確立だ。その最先端を走るテスラの実像と、CASE対応を模索するトヨタ自動車をはじめ日本勢の生き残り策を追っている。
今年7月、自動車業界には衝撃が走った。テスラの時価総額が、長らく業界首位に君臨してきたトヨタ自動車のそれを上回ったのだ。その後も株価は上昇を続け、8月末には時価総額が4500億ドルを突破、瞬く間にトヨタの2倍以上に膨れ上がった。9月以降に約2割下がったが、いまだにトヨタと独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)の3社合計時価総額を上回っている。
テスラの時価総額は、通常の株価理論ではまったく説明がつかない水準にある。2019年の世界販売台数が1000万台を超えるトヨタやVWに対して、テスラは37万台弱とわずか29分の1。設立以来、前期まで当期純損益は赤字で、世界大手の自動車メーカーにまったく太刀打ちできていない。
それでも株式市場から高い評価を得ているのは、「テスラがCASE時代の新たなリーダーになるのではないか」という期待感からだ。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリストは「テスラはテック企業的な評価を受けているので、トヨタとの販売台数の差を議論してもあまり意味がない」と見ている。自動車メーカーという物差しでは測りきれないのだ。
では、テスラの何がテック企業的なのか。その1つがOTA(オーバー・ザ・エア)という、通信によってソフトウェアをアップデートする技術だ。有料で一部の機能を追加する。これまでも自動運転や、駐車場にある車を自分のところに呼び寄せるといった機能が追加されてきた。
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