小児医療が崩壊する!患者と収入「5割減」の衝撃 病院数は20年前から3割減、廃業の決断も

東洋経済オンライン / 2020年10月6日 10時10分

新型コロナウイルスの疑い患者を受け入れている埼玉県久喜市の土屋小児病院(記者撮影)

「このままでは日本から身近なかかりつけ小児科医が消えてしまいそうです」

小児科開業医でつくる日本小児科医会は9月7日、緊急メッセージを発表した。コロナ禍でかつてない患者の減少に見舞われた小児科は今、存続の危機に陥っている。

■小児科の経営はなぜ苦しいのか

大阪市旭区にある民間の小児科専門医療機関「中野こども病院」は、8月末から新型コロナウイルスの疑いのある患者を受け入れる協力医療機関になった。木野稔理事長は「背に腹は代えられない。協力医療機関にならなければ補償が何も入ってこない」と話す。木野氏が問題視するのは、「今の国の支援策はコロナを受け入れているか、受け入れていないかで線を引かれる」ということだ。

新型コロナの陽性者を受け入れていなくても、小児科の医療機関にかかる負担は大きい。小児科はほとんどが発熱患者のため、発熱だけで何の病気か区別するのは難しい。そのため、疑いのある患者の検査結果が出るまでは個室の管理になり、コロナ患者と同じように扱わなければならない。

中野こども病院では全79床のうち、コロナ対応用に個室4床、準備用に4床を用意している。こうした体制を4月から続けてきたが、コロナへの対応で使えない病床があっても補助金は出ない。協力医療機関になれば、1日約5万円の空床補償を受け取ることができる。

しかし、補償が支払われても4月から続く赤字は解消できない。その原因は患者数の大幅な減少だ。中野こども病院では、5月には患者数が前年の約5割まで減り、4~5月の赤字額は5800万円にのぼった。7月に患者数は7割まで回復したものの、8月に入り再び6割ほどに落ちている。そして、7月は1700万円、8月も2800万円の赤字だ。

他の診療科もコロナ禍で患者減少に苦しんでいるが、小児科はとくに患者の減少率が著しい。休校や保育所への登園自粛、団体生活での衛生管理が徹底されたことで、風邪やウイルス性胃腸炎のような子どもの感染症が少なくなっているからだ。

子どもの感染症が減ったことが自体はよいことだ。しかし、救急医療を維持するには、「(風邪などの軽症患者は単価が低いため)患者を数多く診なければ成立しない」(木野理事長)。同病院の外来患者数は年約6万人にのぼるが、現在の診療報酬制度では利益率は2%ほど。そこに今回の患者数の減少が襲った。

■20年間で小児科病院は3割減少

また、小児科は固定費を削りにくい事情がある。小児患者の入院収入は、成人の患者よりも高い単価を得られるしくみがある。しかし、この入院収入を得るためには、医師や看護師を多く配置しなければならない。

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