小児医療が崩壊する!患者と収入「5割減」の衝撃 病院数は20年前から3割減、廃業の決断も
東洋経済オンライン / 2020年10月6日 10時10分
コロナ禍であっても家族の負担を軽減するレスパイト入院は必要とされている。実際、鹿児島こども病院でもレスパイト入院の患者数は減っていないという。しかし、通常の外来・入院患者が減少し、同病院の経営は毎月400万~700万円の赤字が続いている。
「福祉医療機構から融資を受けて2021年3月まではしのげるが、来年度以降も同じ感染状況が続けば現行の小児医療サービスを提供し続けることは厳しい。夏から秋にかけて赤字幅が広がってきているが、必要としてくれる患者がいる限り、規模を縮小してでも病院機能は維持しなければならない」(奥理事長)
■給付金を受け取れない診療所
かかりつけ医として子どもの診療に当たる地域の診療所も患者数の減少に苦しんでいる。
日本小児科医会の会長を務める神川小児科クリニック(東京都大田区)の神川晃院長は「患者は5割ほど減少し、収入もほぼ半減している。このままでは地域の小児医療が崩壊する」と話す。
日本小児科医会が会員の小児科診療所に行った実態調査によると、中小法人へ支給される持続化給付金を受けにくいという回答が多く寄せられた。持続化給付金の受給要件は、前年同月比で収入が5割以上減少することだ。
小児科診療所の収入の内訳は、保険収入が3分の2を占め、残りは予防接種などの自由診療だ。患者がほぼ半減し、保険収入は5割以上減少しても、自由診療の予防接種が一定数維持されれば収入全体の減少率は、給付金の要件である「収入5割減」にわずかに届かない。同様の理由で家賃支援給付金も対象外になることが多い。
さらに、今後インフルエンザとの判別が必要になる時期に迅速診断検査キットの購入などの出費が増える可能性がある。10月からは発熱などでコロナ感染が疑われる場合の相談先が、行政の窓口からかかりつけ医に変更される見通しだ。感染症を判別するためには、インフルエンザなどの迅速検査数が増えることが予想される。しかし、小児科診療所の診療報酬は主に包括(定額)算定のため、複数の迅速検査を実施しても個別に保険請求はできず、費用は診療所の持ち出しになる。
前出の小児科医会の調査によると、5月の外来患者が40~60%減少したという施設が4割を占めて最も多かった。調査では、今回のコロナ禍をきっかけにすでに廃業を決めたという声も上がっている。小児科を標榜する病院が減る一方で、小児科診療所の数は20年前からほぼ横ばいだ。しかし、このまま患者減少が続けば診療所も減少する可能性がある。
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