日本人の「移民嫌い」は菅政権下でマシになるか 観光客も永住者も移民も「外国人」とひとくくり

東洋経済オンライン / 2020年10月7日 13時20分

菅政権下では移民に対する理解が少しは深まるだろうか(写真:まちゃー/PIXTA)

移民問題は現代において、最も重要な政治トピックである。世界中ほぼすべての国の選挙で争点となり、欧州連合(EU)では移民を受け入れる国(フランスやスウェーデン)と、拒否する国(イギリスやハンガリー)を分断するテーマにもなっている。ここ日本においても、移民問題は菅義偉政権の最も重要なテーマになりうる。

実際、安倍晋三前政権においては、移民問題は最も重要なテーマだった。高齢化と少子化の二重苦による労働人口の減少は深刻であり(日本では7つの介護職の求人に対し、1つしか申し込みがない)、外国人労働者の受け入れを余儀なくされていることが背景にはある。第2次安倍政権の8年間で、在日外国人の人口は200万人から290万人に急増している。

■移民は、公式にはまだ「タブー」

2018年2月29日、安倍前首相は演説の中で、年間5万人の移民の流入を増やすことを目標に、「特定技能ビザ」の創設を発表した。外国人労働者の数は増えており、今後菅政権下で劇的に増えることが予測されている。

一方、日本ではいまだ移民は、公式にはタブーとなっているのも事実だ。安倍前首相が特定技能ビザを発表した際には、「日本で、いわゆる移民政策を採用する意図はない」と明言している。昨年4月に発足した外国人担当の新組織の名称は、英語では「Immigration Services Agency(ISA=入国管理局)」となっているものの、日本語では「出入国在留管理庁」である。

同庁の初代長官に就任した佐々木聖子氏には、アジアでの移住に関する画期的な著作があり、日本の入管制度に批判的な層も、同氏の存在に一目置いている。が、新組織はまだ法務省の管理監督の下にあり、独自の政治戦略を持っているわけではない。

元法務省の公務員であり、その後長らく国際連合難民高等弁務官事務所で働いた滝澤三郎氏元同事務所駐日代表は、「ISAは単なる行政機関ではなく、戦略的な管制塔であるべきだ」と指摘する。未来入管フォーラム(旧入管問題救援センター)を創設した元入管局職員の木下洋一氏も、「ISAには、才能があり、多言語に対応できる有能な人々であふれている。夕方、同僚と飲みに集まったときなどに、われわれがやっていることが機能していないことを自覚し、議論し合ったものだ」と話す。

政府のみならず、日本人の外国人に対する認識も大きく進歩していない。日本では「外国人」は、観光客であれ、長期在留者であれ、永住者であれ、すべて外国人とひとくくりにされがちだ。そして、移民という言葉が使われることはほとんどない。

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