最強牝馬が惨敗「凱旋門賞」に学ぶ勝負の怖さ GⅠ14戦11勝の歴史的名牝を襲った不運

東洋経済オンライン / 2020年10月9日 8時30分

優勝したソットサス。騎乗したのはミルコ・デムーロ騎手の弟・クリスチャン(写真:AP/アフロ)

新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るった2020年。競馬界も大きな影響を受けた。10月4日にフランスのパリ・ロンシャン競馬場で行われた欧州最高峰のGⅠ第99回凱旋門賞(2400m芝)は、無観客となる異例のレースだった。

今回もさまざまなドラマがあった。

史上最多の凱旋門賞3勝目を狙った歴史的名牝エネイブル(牝6、英・ゴスデン厩舎)。その強力なライバルと見られていた英オークス馬のラブ(牝3、アイルランド・A・オブライエン厩舎)が、道悪を嫌って直前に出走を回避した。

前評判では、早い段階で一騎打ちムードが漂っていただけに、レースの大きな焦点が消えてしまった。

さらに追い打ちをかけたのが、ラブも所属するアイルランドの名伯楽A・オブライエン厩舎の4頭の出走取り消しだった。10月2日にイギリス、アイルランドの多くの厩舎で使用しているゲイン社の飼料から、禁止薬物のジルパテロール(主に牛の体重増加を促進)が検出され、同社が飼料の使用を避けるように声明を出した。

■フランスでの「陽性」が決定打に

オブライエン厩舎では10月1日夜に一報を聞いて、翌日の朝から飼料を別会社に変更。アイルランド国内の機関に直近の出走馬の尿検査のサンプルを送って、禁止薬物が検出されなかったことを確認したが、オブライエン調教師は「テストの精度の問題がある。フランスの機関では陽性だった」と語った。

そして、直前になって出走取り消しを決断した。「走っても大丈夫だった可能性はあるが確信が持てなかった。失望している」とオブライエン調教師は現地メディアにコメントしている。フランスでは陽性だったというのが決定打となった。

これでジャパン(牡4、アイルランド・A・オブライエン厩舎)との初コンビで参戦する予定だった武豊騎手は騎乗できなくなる不運に見舞われた。新型コロナウイルス対策で帰国後は2週間の自主隔離期間があり、その期間は国内での騎乗が不可能となるのを覚悟のうえでの遠征だっただけに、何ともやりきれなさが残る事態だった。

レースは結局11頭立てとなった。焦点はエネイブルが史上最多の3勝目を挙げ、引退の花道を飾れるかという一点に集約された。最大のライバルと見られたA・オブライエン勢がいなくなったのだ。残る懸念は馬場だった。

パリは雨が降り続いており、当日も晴れたとはいえ不良馬場。昨年、日本馬が3頭挑んだときは重馬場で、それより状態は悪かった。ゴスデン調教師は直前に「敗れるとすれば道悪」と語っており、不安は結果的に的中した。

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