岸田氏の大宏池会構想、支持広がらぬ深刻事情 麻生派、谷垣グループと合流、頓挫する菅降ろし

東洋経済オンライン / 2020年10月14日 7時30分

10月8日、首相官邸で菅義偉首相と面会後、記者団の質問に答える自民党の岸田文雄・前政調会長(写真:時事)

自民党総裁選で菅義偉首相に惨敗し、7年8カ月ぶりの無役に追いやられた岸田文雄前政調会長が突然、「大宏池会」構想を打ち上げた。

岸田氏が率いる宏池会(岸田派)と、その流れをくむ麻生派や谷垣グループが合流し、2021年秋の総裁選再挑戦に向けて党内基盤を拡大するのが狙いだ。

ただ、総裁選からわずか3週間での構想表明に、麻生派や谷垣グループは当惑を隠さず、岸田派内でも不満が表面化している。岸田派前会長の古賀誠元幹事長の名誉会長退任問題への反発から、古賀氏の側近グループは派閥離脱の動きを見せている。

麻生派からは「自分の派閥もまとめられないのに、他派の力を借りようとするのは虫が良すぎる」(幹部)との声が噴出。総裁選で対応が割れた谷垣グループでも「グループの分裂が加速するだけ」(同)と懐疑的な声が多い。自民党内では岸田氏が目指す次期総裁選前の合流実現は「極めて困難」(自民長老)との見方が広がっている。

■麻生派、谷垣グループとの合流を提案

岸田派(宏池会、47人)は5日、都内のホテルで政治資金パーティーを開催した。主催者としてあいさつした岸田氏は「宏池会の大きな塊を実現できるように先頭に立って汗をかく」と発言。次期総裁選に向けて宏池会から分派した麻生派(志公会、56人)と谷垣グループ(有隣会、他派掛け持ちも含め20人余)と合流する「大宏池会構想」の実現をめざす考えを表明した。

パーティーには、麻生派や谷垣グループの幹部らも出席。岸田氏は「宏池会は過去に何度か分裂の歴史を繰り返してきた。しかし、『分断から協調へ』の重要性を訴えている以上、宏池会こそが身をもってそれを実践していかなければならない」と合流の必要性を訴えた。

このあと岸田氏は8日、自らが呼び掛けた谷垣グループ幹部らとの会食で、「宏池会は間違いなく変わる」と吹っ切れた表情で熱弁をふるった。岸田氏は今後、麻生派も含めた合流工作を積極的に進める構えだ。

今回の動きで他派閥幹部を驚かせたのは、「岸田氏が古賀氏を排除する動きに出た」(麻生派幹部)ことだ。2012年の衆院選不出馬を機に宏池会会長の座を岸田氏に禅譲した古賀氏だが、その後も、資金面で派閥運営を支援するなど、「宏池会のドン」(岸田派幹部)としての存在感を誇示してきた。

古賀氏は毎年開催される岸田派パーティーでも必ずあいさつに立ち、乾杯の音頭を取るのがしきたりだった。しかし、5日のパーティーには出席せず、事前に名誉会長を退任する意向を岸田氏に伝えていたとされる。

■4年前にも浮上した「大宏池会」構想

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