「学術会議問題」致命的に見落とされている視点 政治に調達されるネット空間、議論できない国
東洋経済オンライン / 2020年10月15日 19時0分
以上の問題は、物事を極端な二項対立に押し込めることに由来する側面が強い。
ネット言論空間は、二項対立に非常に親和的である。政権か反政権か、改憲か護憲か、経済か命か、加害者か被害者かetc…
極端な二項対立は与党vs.野党という政治権力構造にも取り込みやすく、その意味でも、ネット言論空間は与野党問わず政治権力に調達されている。
言論空間のこのような構図や特性を理解し、現状認識を真正面からしたうえ、筆者としては、あくまで法律家としてリベラルな立場から「自由」や「法の支配」を死守するために、できれば法的システムという言語を使って、本稿のように問題点を整理してオルタナティブを提示していきたい。
自称リベラルの発信も、今回の学術会議問題を含めてあらゆる論点について「安倍ロス」のフラストレーションを「反スガ」で発散している状態で、極めて口汚いものも目に付く。あまりに全能感の強いリベラルエリートの言説は、学問の自由、真理の探究、知性への挑戦等々「キレイゴト」を並べても、人々の耳には届かない。今回の学術会議問題が社会的な訴求力を持ち切れていないのも、リベラルエリートのこれまでのふるまいにあったのかもしれない。真のリベラルの再生と真のオルタナティブへの昇華は急務であり不可欠である。
筆者は、香港民主化やコロナを例にその「きっかけ」とすべきと論じてきたが、今回のこの問題も、刹那的な発散で終わらせるのではなく、議論を制度論や法システムへと昇華させ、リベラル再生の「きっかけ」になればと願っている。
倉持 麟太郎:弁護士
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
バイデン大統領就任で世界はどう変わる? 緊張する国際情勢下で日本が安定する理由
文春オンライン / 2021年1月1日 6時0分
-
news23菅首相インタビューを信号無視話法分析して痛感した、菅総理の「ズレ」
HARBOR BUSINESS Online / 2020年12月28日 8時32分
-
日本学術会議に税金10億円拠出は適正か?下村元文科相の「答申ない」批判が的外れな理由
Business Journal / 2020年12月24日 18時50分
-
「憲法知らず」が憲法を振り翳す愚と危険<憲法学者・小林節氏>
HARBOR BUSINESS Online / 2020年12月24日 8時33分
-
韓国・文大統領が仕掛けた検察改革の危険性 国家情報院の権限も制約、その政治的意図とは
東洋経済オンライン / 2020年12月24日 7時10分
ランキング
-
1「被害者や遺族に特別休暇を」池袋暴走事故遺族・松永さん訴え 代理人も「厚労省の怠慢」
J-CASTニュース / 2021年1月19日 21時5分
-
2自宅療養死相次ぐ 入院1週間待ちも「調整難しい」
産経ニュース / 2021年1月19日 21時27分
-
3福岡女性客殺害で15歳少年逆送 鹿児島家裁決定、裁判員裁判へ
共同通信 / 2021年1月19日 20時13分
-
4コンビニ店員「買い物ですか」…言葉を詰まらせる女性「サイトから退会できない」
読売新聞 / 2021年1月20日 7時24分
-
5「マスク警察」が進化!? 「不織布マスク警察」が登場、極端な意見「反発的な行動を招く恐れ」と警鐘も
夕刊フジ / 2021年1月19日 17時11分