あの日高屋が「パスタ店」に乗り出す切実な事情 「一本足打法」脱却へ問われる多角化への本気度

東洋経済オンライン / 2020年10月18日 7時30分

新業態で提供されるナポリタン。スパゲッティ麺は既存の自社工場で生産している(記者撮影)

新たな収益源となりえるのか。

中華料理チェーン「中華食堂日高屋」を中核業態とするハイデイ日高は8月、東京都町田市に初めてのスパゲッティ専門店「亀よし食堂」を出店した。小田急線町田駅から徒歩5分以内の繁華街に位置し、看板商品であるナポリタンは700円(税込み)で提供する。

狙うのは「女性」「若年層」など、新たな顧客層の開拓だ。店内はイタリアンレストランを意識したかのような落ち着いた色調で、カウンター上には小さなランプがある。ガラス張りのキッチンに目を向ければ、従業員がスパゲッティを調理している姿が見えた。

■ナポリタンの価格は中華そばの1.8倍

オープン初日の店内はほぼ満員で、そのうち4割以上は女性客。ハイデイ日高で業態の開発に携わっている商品開発部の鈴木昌也課長は「利用客のおよそ半分は女性だ。20~30代の若年層の利用も多く、30代以上の男性客が中心の日高屋とは店内の雰囲気がまったく違う」と語る。

2020年に入ってからハイデイ日高は食材にこだわるなど、フードメニューを強化した新業態の出店を加速している。2月には東京都豊島区の巣鴨地蔵通前にラーメン専門店「中華そば神寄」の1号店をオープン。また炒め物類に注力した中華業態である「炒爆中華食堂真心」も、2月に東京都新宿区、7月に埼玉県大宮市でオープンしており、今後も新たに2~3店舗ほど出店する構想だ。

新業態では価格帯の引き上げにも挑戦している。日高屋の中華そばが390円(税込み)であるのに対して、炒爆中華食堂真心の中華そばの価格は550円(税込み)。亀よし食堂のナポリタンに至っては、日高屋の中華そばのおよそ1.8倍の価格だ。

ランチタイムの客単価も日高屋が600~700円程度なのに対し、新たに展開した各業態は1000円弱。ディナータイムについても「アルコール類の注文はやや少ないものの、日高屋の平均客単価(およそ1000円)とほぼ変わらない」(鈴木氏)。

ハイデイ日高が新業態の開発を急いでいるのは、同社の成長を支えてきた「ちょい飲み」モデルの限界が見えてきたためだ。これまで日高屋は、ビジネスパーソンが仕事終わりにアルコール類と食事を楽しむ「ちょい飲み」需要を追い風に拡大してきた。日高屋の成長が寄与し、ハイデイ日高は2019年2月期までの16期連続で増収増益を達成した。

■日高屋の失速で多角化が急務に

ところが、働き方改革に伴う夜間客の減少を受けて、柱の日高屋が失速。採算の良いアルコール類の販売が減少しただけでなく、2019年10月の消費増税の際に中華そばや餃子など主力商品の値段を据え置いたことで、利益率が低下した。

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