脱ハンコの先「都市のデジタル化」で来る大変化 日本で進む「スマートシティ」実現への取り組み

東洋経済オンライン / 2020年10月19日 9時20分

2021年3月までに提供されるAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を装備して実証実験が進めば、地方自治体が都市OSを導入しやすい環境が整うことになる。

■デジタル化で先行するシンガポール

「都市OSがあってもスマートシティを実現するのは簡単ではない。日本ではインフラ情報のデジタル化とデータの標準化が遅れているので、提供できるサービスが限られる」。日本大学教授、東京大学空間情報科学研究センター特任教授などを務めるビッグデータ解析、不動産経済学が専門の清水千弘氏は、そう指摘する。

アクセンチュアの中村氏も「スマートシティのサービスは大きく分けてインフラ系、行政手続き系、医療や教育などの住民サービス系がある。現状ではインフラ系サービスの提供が難しいので、ほかのサービスを先行させている」と打ち明ける。

清水教授が5年ほど前にシンガポール国立大学教授を務めていた頃、シンガポールでは建築確認などの申請を、3次元コンピューター設計システム「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」のデジタルデータで提出することが義務付けられていたという。

「当初はデータを標準化せずに導入したので失敗したが、再挑戦してシンガポールでは都市全体を3次元データで管理できるようになっていた。日本ではBIMの確認申請も始まったばかりで、建設業界へのBIM普及も進んでいない。自動車の自動走行には高精度のデジタル地図が必要になるが、道路台帳もデジタル化されていない」(清水教授)

日本でも1990年代後半に建設CALS/EC(公共事業支援統合情報システム)の導入が始まり、公共工事の竣工図面類の電子納品制度が導入されたが、紙の図面を電子化しただけ。

実際に3次元デジタル地図を作成するために、国土交通省が「国土交通デジタルプラットフォーム整備計画」を策定したのは2019年5月。2020年4月にプロトタイプのバージョン1.0が公開されたが、「実際の地図を整備するのはこれから」(国交省担当者)という段階だ。

国交省では、2020年7月にインフラ分野のDX推進本部を立ち上げた。これまで縦割りで作成されてきた都市計画図や道路基盤図などの地図を、重ね合わせられるように標準化する作業に着手したところだ。

地図作成の共通ルールとして、国の位置の基準を示す「国家座標」の普及を進める。国土の地表面は絶えず動いているため、人工衛星から国家座標の位置を測定してデジタル地図を自動補正する。

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