脱ハンコの先「都市のデジタル化」で来る大変化 日本で進む「スマートシティ」実現への取り組み

東洋経済オンライン / 2020年10月19日 9時20分

この仕組みを民間で整備しているデジタル地図も準拠することで、より正確な空間データが利用できるようになる。国土交通デジタルプラットフォームの本格運用は2023年度以降となるとみられる。

■不動産にもデジタル化の波

インフラ情報を整備するうえでネックとなるのが、国土管理に必要な「不動産ID」の問題だ。不動産には、個別の住居表示や地番が付与されているが、重複している地域もある。

そのため、不動産IDを付与する必要性は以前から指摘されてきた。IDは不動産のインターネット取引などにも不可欠だが、ネット取引に当初は後ろ向きだった不動産業界からの強い反対もあって実現しなかった。

ここ数年、海外投資家や投資用不動産取引を中心に、ネット取引のニーズが高まってきたこともあって、不動産業界からも不動産IDの整備を求める声が出ている。2020年7月に閣議決定した規制改革実施計画でも、不動産IDを含めて不動産関連データの整備を同年度から検討することが盛り込まれた。

「これまでも不動産IDの整備に向けて、法務省に対して不動産登記データベースのオープン化を求める動きはあったが、法務省が応じなかった」という話も聞かれる。

不動産登記データには所有権や抵当権など、「権利部」に関する情報も含まれている。住居表示、地番、地目、地積などの「表題部」は、オープン化して不動産IDで管理できるようにしても問題はないと思われるものの、ハードルは高い。

日本では、公図と現況を確定するための地積調査の実施率が52%にとどまり、所有者不明土地が九州の面積に匹敵するなど、国土管理で重大な課題を抱えている。

現在、不動産登記の義務化に向けた法整備の準備も進んでいる。しかし不動産登記が義務化されても、すでに所有者不明状態になった土地の権利関係を明確にして問題を解消するには、相当な時間がかかるだろう。

■停電した住戸の把握も可能に?

インフラ分野のデータ基盤として、建物や住戸に設置されたスマートメーターの活用が期待されている。

2020年4月に電力事業者の発送電分離が実施され、スマートメーターは送配電事業者が管理。同年6月の電気事業法改正で、スマートメーターのデータの有効活用が認められ、2022年4月に法律が施行される。

すでに2018年11月に東京電力パワーグリッド、中部電力、関西電力送配電とNTTデータの4社で「グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合」を設立し、データの有効活用に向けた議論を始めている。

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