大坂なおみに「共感する女性」が口々に語る理由 彼女が訴えているのはBLM問題だけではない

東洋経済オンライン / 2020年10月19日 13時10分

全米オープンでは7枚のマスクを着用した大坂なおみ選手。政治的活動に対する批判もある一方、彼女を支持する女性も数多くいる(写真:ロイター/Danielle Parhizkaran-USA TODAY Sports)

大坂なおみを単なる「テニス選手」としてしか見ていない人は、大坂なおみという人物の全体像を見ていない。彼らは見たいものしか見ていないのだ。大坂の全体像はまだ明らかにされていないが、間違いなく単なる「人気のあるテニスプレーヤー」ではなく、それ以上の存在である。実際、彼女の最大の特徴は「ゲームチェンジャー」であることだ。

言うまでもなく、大坂にこれまで大きな注目が集まっていたのは、彼女の並外れたテニスの腕前があるからにほかならない。彼女は自身のプレーにより、日本に名声と栄光をもたらすと同時に、優れた選手であることを証明してきた。9月には何百万人ものファンの願いを叶えるべく、全米オープンで2度目の優勝を果たしている。

若くて、自信に満ちあふれ、パワフルで、内面も外見も美しい大坂は当然、日本を含め、世界中の若い女性たちにインスピレーションを与える存在となっている。

■全米オープンで着用した7枚のマスク

ただし、彼女は単にスポーツに興味のある女性たちにインスピレーションを与えてきたわけではない。メディアの一部は、大坂の政治的な活動にも注目をしている。

特に大坂が全米オープン中、勝利を収めた7試合で身につけていた7枚のマスクには、アメリカの警察官の残虐な行為による黒人犠牲者の名前がつづられており、アメリカにおける構造的人種差別に反対する意思を示すものだった。一部の日本のファンの中には、スポーツ選手が政治的な態度を取ることに不快感を感じて「Black Lives Matter(BLM=黒人の命も大事)運動」のように物議をかもすような問題については、彼女は黙っているべきだ、という意見もあった。

しかし、大坂は黙っていなかった。黙っていられなかったのだ。

彼女は、友人や家族の多くが住んでいるアメリカで現在も黒人虐殺が行われていることに心底懸念を抱いている。不正や不平等、殺人的行為に対し、自身の立場を利用して人々の注意を向けないことは、大坂にとって耐えられないことだったのだろう。

そして、とても「人間らしい」大坂は、彼女の行為を批判する人たちに反発した。厳しく批判されても、その批判を受け止めながら、それが自身の目的の追求や達成の妨げにならないよう、権威者に対して自身の立場を貫こうという姿勢があった。

その姿を見て多くの人、特に日本人女性は、自分たちを取り巻く世界でいったい何が起きているのかという理解を深めたのだ。「大阪なおみさんが日本に与える影響はとても大きいと思う」と、東洋大学でグローバル・イノベーション・スタディーズを学ぶ立川夏帆さん(21)は話す。

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