元国防相逮捕!メキシコ麻薬組織のヤバい実態 「まるでゴッドファーザーの世界」と話題

東洋経済オンライン / 2020年10月21日 20時20分

メキシコのサルバドル・シエンフエゴス前国防相の逮捕劇に、「リアル・ゴッドファーザーの世界」と驚きの声が上がっている(写真:Daniel Becerril/ロイター)

10月15日、メキシコのサルバドル・シエンフエゴス前国防相(72)が家族との休暇のためにアメリカ・ロサンゼルス空港に到着するなりアメリカ麻薬取締局(DEA)に拘束された、というニュースはメキシコのみならず、「リアル・ゴッドファーザーの世界」と、多くを驚かせた。

日本でもツイッターでも「映画のようだ」などとトレンド入りをしていたようだが、メキシコではもちろんそれ以上の衝撃があった。シエンフエゴス氏は2012年から6年間、国防相として犯罪組織との闘いを指揮し、あたかも英雄であるかのような厚遇を受けると同時に、国民からは畏怖の念を抱かれていた人物だからだ。

■テレビの映像で犯人が「判明」

一方、シエンフエゴス氏の軍人に対する手厚さは相当なもので、ペーニャ・ニエト前大統領の政権下では、軍部は政権による支配から独立した組織であるかのように、大統領でさえ軍部への介入は容易ではなかった。麻薬組織(カルテル)と癒着して罪を犯したとしても外部からの取り調べを阻止することもできたため、軍部からの信頼は厚かった。軍人の中にはシエンフエゴス氏自身が麻薬組織と関係しているといううわさもあったようだが、それは軍の内部で秘密にされていたようだ。

ところが、地元紙『エクセルシオール』(10月17日付)によると、DEAは1年ほど前からシエンフエゴス氏がアメリカへの麻薬の密輸、ならびに資金洗浄(マネーロンダリング)に関与しているという疑いを持つようになっていた。DEAはメキシコのカルテルの動きをつねに監視し、彼らの交信を秘密裏に傍受することにも努めている。

メキシコの複数のメディアが明らかにしているのは、あるときカルテルに属している人物が仲間との交信中に「エル・パドゥリーノがテレビに出たばかりだ」と言っているのをDEAが傍受した。早速、その時間帯に放映された番組を調査したところ、エル・パドゥリーノと呼ばれている人物というのはシエンフエゴス氏であることが判明した。

DEAもパデゥリーノという政府高官が、メキシコのカルテルの1つ、ベルトゥラン・レイバによるアメリカへの麻薬の密売に協力している、という情報はつかんでいた。しかし、パデゥリーノが誰か、というところまではたどりつけないでいた。

テレビの映像からパドゥリーノがシエンフエゴス氏であると判明した段階で、地元紙『ホルナダ』でも明らかにされているように、アメリカの検察はニューヨークの該当する裁判所に昨年8月14日付で逮捕状を申請し、受理された。

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