自分は不幸だと思う人は脳の使い方を知らない 従来の脳科学では引き出せなかった脳の鍛え方

東洋経済オンライン / 2020年10月22日 10時20分

「島皮質」を鍛えないと、脳は成長できません(写真:Graphs/PIXTA)

世界の脳科学者たちが「島皮質」という脳の部位に注目している。島皮質は、脳全体をバランスよく協調的に働かせるために必要な「ハブ(中継基地)」の役割を果たしている部位だ。脳科学者で『科学的に幸せになれる脳磨き』の著者が、島皮質の持つ力を解説する。

■ここ10年で解明された「島皮質」の役割

これまで脳といえば、高次機能を司つかさどる前頭前野、記憶に深く関わる海馬、あるいはモチベーションに関与する中脳のドーパミン細胞などが注目されていました。

ところがあまり研究が進んでいなかった「脳の部位」に、その人が豊かで幸せに生きられるかどうかが大きく関わっていることがわかってきました。

そのひとつが「島皮質」と呼ばれる部位です。

島皮質は、大脳のひだ奥深くに隠され、他の部位に覆われていることもあり、これまであまり注目されてきませんでした。

しかし最近になって、この島皮質を鍛え、脳全体をバランスよく協調的に働かせることが、その人の人生を豊かに幸せにすると科学的にわかってきたのです。

脳では、この部位は記憶を担当、この部位は理性の担当というように、各部位でそれぞれの役割担当が決まっています。

島皮質が担当する分野はかなり幅広く、社会的感情、道徳的直感、共感、音楽への感情的な反応、依存、痛み、ユーモア、他者の表情への反応、購買の判断、食の好みなどに関わります。

また島皮質に障害が起きると、無気力になり、口にしたものが腐っているかどうかの判断ができなくなります。さらに島皮質からの情報は、脳の他の部位、とくに前帯状回や前頭葉に伝えられて意思決定にも関わります。

このように島皮質は幅広く活躍しているのですが、もっとも大きな特徴は脳のなかで「ハブ(中継地点)」のような役割をしている点です。

自分の外側から来る感覚と内側の感覚を繫つなぐ、他人の気持ちと自分の気持ちを繫げる、また、過去の自分といまの自分や、いまの自分と未来の自分のイメージを繫げるといった時間的なハブの役割もします。

このハブの働きによって、私たちは他者のことを理解したり、他者に共感したりすることができます。

つまりこの島皮質の機能を高めれば、他の人と心の繫がりを持ちやすくなり、たとえどんな過去を持っていようと、過去の自分を受け入れやすくなります。

それだけでなく、島皮質は脳のいろいろな箇所を繫いでいるため、脳全体が活性化され、脳が本来持っている力が引き出されるのです。

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