一見お得な「外貨建て介護保険」の危険なワナ 将来の「要介護」に備え保険を買う必要はある?

東洋経済オンライン / 2020年11月1日 8時20分

「将来、自分が要介護になったら」という漠然とした不安があると、つい勧誘に乗ってしまうことも(写真:Pangaea/PIXTA)

「人生100年時代」という言葉は、多くの生活者にとってかなりのインパクトがありました。しかし、それは喜びよりもむしろ不安をもたらしたようです。「老後2000万円不足問題」は、多くの人が「自らの老後生活」を考えさせるきっかけになった一方で、「金融商品販売のための格好のキャッチコピー」になったという側面も、否めません。

■「外貨建て保険」への苦情が多い理由

外貨建て保険もその1つです。「老後資金を作るための有力商品」として大いに販売された一方、残念ながら苦情も大変多く寄せられました。生命保険協会の発表によりますと、2019年度の外貨建て保険への苦情件数は前年より11%増えて2822件にも上ったそうです。

「『元本割れしない』『今まで損をした人はいない』などと説明された」、「手数料や解約返戻金などコストの説明がなかった」「為替変動リスク、為替相場の変動による影響について十分な説明がなかった」など、契約内容やリスクについての苦情相談が多いようです。

また、「老後の資金を作りたい」「保険はすでに入っているので必要ない」「元本保証希望」などの意向があるにもかかわらず、外貨建て保険を買わされた例もあるようです(国民生活センターの調査)。

実は、FP(ファイナンシャルプランナー)である私のところにも外貨建て保険については多くの相談があります。中には、「定期預金でよかったのに、しつこく勧められて、定期を解約して契約した」「やや認知症が認められる高齢の母が知らない間に契約していた」などという悪質なケースも目立ちました。

こうした場合、多くの人は、為替変動リスクや手数料、商品内容について十分に理解しないままに契約しています。販売方法に大きな問題があるのは明白ですが、消費者側も、もっと知識を持つ必要があるでしょう。

外貨建て保険の販売は、新型コロナウイルスの感染拡大で対面営業ができないことや、後述のように諸々の事情で販売も減っているのが実情です。しかし、最近はオンラインでの営業にシフトして販売されるケースも多く見られます。しかも、最近はニーズの高い介護をからめる保険も増えています。

会社員の三上弥生さん(仮名・50歳)は「65歳までに保険料を年間約4500ドル支払うと、公的介護保険制度で要介護2以上の状態になったときに10万ドルの介護保険金が支払われる」という、外貨建ての介護保険を勧められました。

死亡保障と生前の介護リスクにも備えられるという商品で、保険料を外貨に代えて外国の債券や一部投資信託などで運用してお金を増やし、いざ介護状態になったときに、円に戻して受け取るという商品です。三上さんの夫も同じ商品を勧められました。1ドル=105円で計算すると、年間保険料は、夫婦で約95万円です。

■「不安」を「商品の購入」で取り除くのは間違い

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング