菅政権で加速?「地銀再編」が意外に難しい理由 金融庁長官は地銀トップと早朝からウェブ会議

東洋経済オンライン / 2020年11月4日 8時10分

提携を発表した静岡銀行と山梨中央銀行(撮影:二階堂遼馬(左)、尾形文繁(右))

菅政権が進める大手地銀の再編が動き始めた。静岡銀行と山梨中央銀行は10月28日、業務提携することで合意した。両行は相互に出資する資本提携も結ぶ予定で、県をまたぐ広域連合が誕生することになる。

両行は2019年に地方創生を目的に連携協定を結んでおり、今回は将来的なシステムの共同化なども視野に入れた包括提携に踏み込む。圧倒的なシェアを誇る静岡、山梨両県の営業基盤をベースに、手を携えて収益性の高い東京都などの巨大経済圏に打って出るのが狙いだ。

菅義偉首相は9月の総裁選の過程で、「地方の銀行について、将来的には数が多すぎるのではないか」と語っており、「再編も一つの選択肢になる」と踏み込んだ発言をしている。この発言を受けるように、政権発足直後に青森銀行とみちのく銀行という同じ青森県内の地銀同士の統合話も浮上した。

■最大のネックは地元自治体との関係

地域ナンバーワン銀行同士の提携が、すぐさま統合・合併に進むとは考えづらい。実際、静岡、山梨中央の両行は「今の時点で(統合・合併は)まったく想定していない」と述べている。青森、みちのくの両行も2019年に包括提携を結んでいるが、一部報道に対して統合・合併は否定している。

首都圏でいえば、2019年に業務提携した地銀トップの横浜銀行と千葉銀行も統合・合併までは進んでいない。

県のトップ地銀が、他県のトップ地銀と統合・合併することは簡単ではない。最大のネックは地元自治体との関係にある。

「公金取引への影響のほか、合併で登記上の本店が他県に移り、地元に法人税が落ちなくなる可能性があるためだ。やるとしても肥後銀行と鹿児島銀行のように持株会社方式により、傘下に銀行を併存させる統合しかない」(大手地銀幹部)

それでも菅政権の主要テーマの1つに地銀再編があることに間違いはない。自民党では地域金融機関の経営強化策を検討する小委員会(片山さつき委員長)の初会合が10月29日に開かれ、地銀の収益力強化について議論を開始した。

そこで講演したのが、SBIホールディングスの北尾吉孝社長。菅首相のブレーンの一人で、地銀再編のキーパーソンといわれる北尾氏が招聘されたのは意味深長だ。

地銀再編がテーマになる背景には、厳しい収益環境がある。上場する地銀78行・グループの2020年4~6月決算は、連結最終損益が全体の6割にあたる48行で前年同期に比べて減益または赤字になっている。超低金利が継続し預貸業務で収益を出しにくい環境が続いているためで、さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴い、与信費用もじわじわと上昇に転じつつある。

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