中国の食卓に「カリフォルニア米」上陸の背景 穀物メジャーADMが輸出、福建省で試験販売へ
東洋経済オンライン / 2020年11月17日 5時40分
中国の食卓にアメリカ産のコメがまもなく上陸する。11月4日、穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)の担当者が財新記者の取材に応じ、「近日中に福建省厦門(アモイ)市でアメリカ米のテスト販売を始める」と明らかにした。
アメリカのコメ生産者団体のUSAライス連合会によれば、中国に輸出される最初のアメリカ米はカリフォルニア州産の「カルローズ」20トンで、厦門の食品貿易会社の明穂粮油貿易がADMを通じて購入した。すでに通関手続きが完了しており、地元スーパーで一般消費者向けに5キログラム単位で販売される予定だ。
中国は世界最大のコメの輸入国だが、主にタイやベトナムから輸入してきた。中国海関総署(税関)は2018年12月末にアメリカ産のコメの輸入を解禁。その後2年近くを経て、ようやく初輸入が実現した。
なおアメリカ農務省によれば、アメリカは2019年に総額19億ドル(約1976億円)相当のコメを輸出した。輸出先の上位3カ国は日本、メキシコ、ハイチとなっている。
■米中貿易協定「第1段階」の影響との見方
アメリカ米の輸入解禁後、USAライス連合会と在中国アメリカ大使館は上海や深圳などの主要都市でプロモーションを展開。明穂粮油貿易を含む中国の食品貿易会社をカリフォルニア州やルイジアナ州の産地へ視察に招く活動も行った。
ADMの担当者によれば、近年はアメリカ米の(価格や食味などの)競争力が向上しており、明穂粮油貿易との商談は市場原理に基づいて成立したものだという。USAライス連合会は、中国への輸出を実現するためにアメリカ大使館のサポートを受けたものの、最終的には明穂粮油貿易がADMとの取引を自ら決めたと説明した。
だが中国の業界関係者の間では、アメリカ米の上陸には中国政府とアメリカ政府が今年1月に合意した貿易協定の「第1段階」が影響しているとの見方が少なくない。
10月23日にアメリカ通商代表部(USTR)と農務省が共同発表した中間報告書によれば、中国は合意に基づく目標の約71%にあたる236億ドル(約2兆4539億円)相当の農産物をすでにアメリカから購入。年間の対中輸出額は史上最高を記録する可能性があるという。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は11月6日
財新 Biz&Tech
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