保育園が突如閉園、広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知、市の通知にも応じず

東洋経済オンライン / 2020年11月26日 7時30分

10月29日、休園の撤回を求めて記者会見を開いた保育士たち(記者撮影)

「2020年10月31日をもって当施設を閉園することを判断いたしました」

千葉県印西市の小規模認可保育園「にこにこルーム原山」を利用する保護者が閉園を知らせる手紙を突然受け取ったのは、閉園2週間前の10月18日のことだった。

同園の運営会社は2020年10月末で閉園することを10月17日付で保護者に文書で通知した。保護者への説明会は一度も開かれないままだ。職員が閉園と他園への異動を通知されたのは、さらに遅い10月20日のことだった。

■「保育士不足と経営悪化」で閉園に

新しい保育園に通う場合は通常、子どもが環境に慣れるために短時間だけ子どもを預ける「慣らし保育」を行う。しかし、今回のような急な閉園の場合は十分な慣らし保育の期間を設けることができない。

同園の保護者らは「急な閉園で預かってもらえないと本当に困る。度重なる転園は子どもの精神的な負担が大きく、心配だ。子どもたちに負担がないように配慮してほしい」と当惑を隠せない。

にこにこルーム原山は少人数型の小規模保育園で、閉園の通知当時、3人の園児が在籍していた。運営するのは、東京都や千葉県で7カ所(同園含む)の小規模保育園を運営する都内の株式会社だ。運営会社は保護者宛の手紙で、「(閉園の理由は)保育士不足と経営悪化」と説明している。

認可保育園を閉園する場合、自治体首長の承認が必要になる。印西市は休園を承認しておらず、10月27日、運営会社に対して11月以降も運営を継続するよう文書で通知したが、運営会社は閉園の方針を撤回しなかった。

保育士ら3人の正社員らは運営会社に閉園の撤回を求め、11月以降も運営を続けようとしていた。

ところが、11月に入って運営会社は施設の鍵を変えたため、職員や園児の荷物が施設内に残されたまま、中に入れない状態になった。職員の保育士は「子どものことも、園を頼りにしている保護者のことも考えずに、閉園を強行するのは信じられない。運営会社は経営状況の悪化を理由にあげているが、いま閉園しようとしているのは別の理由があると思う」と話す。

■ベビーベッドも補修してもらえず

運営会社が正社員らに命じた異動先は、自宅から電車で片道2時間ほどかかる都内の保育園だ。職員らが個人加入している介護・保育ユニオンは、「職員はばらばらの遠い園に異動になる。閉園は団体交渉で声を上げた職員への報復の意味が大きい」と指摘する。

同園は新型コロナウイルスの影響で4~5月に休園になった。休園中も、自治体から認可保育園に支払われる委託費は変わらない。そのため、国は労働基準法に基づく平均賃金の6割の休業手当の支払いにとどまらず、通常と同水準の賃金を職員に支払うように都道府県に通知を出した。しかし、同園は職員に給料は6割しか支払っていなかった。

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