2021年「大変革期」が始まる鉄道ビジネスの挑戦 終電繰り上げや時間帯別運賃の検討、どう進む

東洋経済オンライン / 2021年1月4日 7時20分

深夜のレール交換工事現場。今春ダイヤ改正で多くの鉄道会社が夜間作業の人材確保などを目的に終電時刻を繰り上げる(編集部撮影)

2020年の鉄道業界は新型コロナウイルス感染拡大による利用者激減に揺れた1年だった。年末の帰省ラッシュも今年は影を潜め、感染拡大防止の観点から首都圏では多くの鉄道会社が大みそかの終夜運転を取りやめた。

年が開けた2021年の鉄道業界は、ダイヤ改正で大きな動きがある。春のダイヤ改正における首都圏や関西圏での終電時刻の繰り上げだ。これは、コロナ禍で在宅勤務への移行が進んだこと、また仕事の後に外で飲食せず帰宅する人が増えたことなど、鉄道利用者の行動様式の変化が一因になっている。

JR東日本の担当者によると、「新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、深夜時間帯を中心に利用が減っている」という。山手線終電近くの時間帯の利用は、コロナ前と比べて4割減になっているという。

■時代は「終電繰り上げ」へ

つい最近、2019年までは終電時刻をもっと遅くすることが検討されていた。深夜に時間を持て余す訪日外国人客向けにエンターテインメントを提供する「ナイトタイムエコノミー」の機運が2017年ごろから高まり、2019年には、2020年開催予定だった東京オリンピック期間中にJR山手線、東京メトロ、都営地下鉄の各線について深夜2時過ぎまで運行する検討が始まっていた。それが一転して、時代は終電繰り上げの方向に動き出した。

大手鉄道会社で終電繰り上げの先陣を切ったのはJR西日本だ。新型コロナを理由にしたものではなく、コロナ前の2019年10月に「近畿エリアで終電時刻の繰り上げを検討する」と発表した。

その動きに続き、2020年9月にJR東日本が「来春(2021年春)から首都圏を軸に終電時刻を30分程度繰り上げる」と発表すると、首都圏の大手私鉄各社が雪崩を打って終電繰り上げに動き出した。終電だけではなく、始発の繰り下げを行う鉄道会社も少なくない。

JR西日本がコロナ前に動き出したことからもわかるとおり、鉄道各社が終電繰り上げに踏み切る理由は、コロナ感染拡大による利用者の減少だけではない。むしろ、深夜時間帯における線路メンテナンス作業の人材確保こそが最大の理由だ。

2019年11月、JR東日本は高輪ゲートウェイ駅開業に向けて、山手線を止めて線路の切り替え工事を行った。だが、このように電車の運行を止めて工事を行うことはまれで、通常の線路メンテナンス作業は列車が走らない終電から始発までの時間帯に行われる。

問題は作業時間が短いことだ。仮に終電が深夜0時半、始発が朝5時だとしても、メンテナンス作業時間を4時間半確保できるわけではない。作業員の安全確保のためにはまず終電後、メンテナンス作業を行う区間に電車が走っていないことを確認してから、列車の進入を防ぐ「線路閉鎖」という手続きを行うほか、作業に使う大型重機を最寄りの車両基地などから移動させることもある。

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