湘南新宿ラインはなぜ「貨物線」を走るのか 旅客列車が通る東京都心の貨物線は意外に多い

東洋経済オンライン / 2021年1月13日 7時30分

湘南新宿ラインの列車は「山手貨物線」を走っている(写真:Caito/PIXTA)

JR新宿駅の埼京線・湘南新宿ラインが発着するホームで電車を待っていると、「通過列車にご注意ください」というアナウンスに続き、電気機関車に牽引された貨物列車が通過していくことがある。都心のターミナル駅のホームにいきなり貨物列車がやってきて驚いた人もいるだろう。

しかしこれ、当然のことである。埼京線や湘南新宿ラインが通る池袋―大崎間の線路は、そもそも山手線の貨物線として敷かれた、通称山手貨物線だからだ。ついでに言えば、湘南新宿ラインは池袋から先も山手貨物線を経由して東北貨物線に入り、反対側の大崎から南は東海道貨物線を走る。

■都心に貨物駅が多くあった

昔の鉄道路線は多くが旅客列車と貨物列車の両方を走らせるために生まれた。それは東京都内も例外ではない。よってかつては東京23区内にも貨物駅がいくつか存在した。山手線では品川、新宿、池袋、巣鴨の各駅などで貨物の取り扱いをしていた。恵比寿と秋葉原の両駅は当初貨物駅として生まれたほどである。

しかしながら旅客と貨物の双方の輸送量が多くなったことを受け、旅客と貨物の線路を分けるという考えが生まれた。首都圏では東海道本線、東北本線、山手線が線増に踏み切った。そこを現在、湘南新宿ラインなどが走っているのである。

このうち東北本線と山手線はいずれも、既存の路線を複々線とすることで貨客分離を果たしている。全線開通は山手貨物線が1925年、東北貨物線が1932年と、いずれも第2次世界大戦前である。

山手貨物線は電車のように1周しているわけではなく、本来の山手線区間である品川―新宿―田端にとどまっている。しかも田端側は駒込駅を過ぎると電車線の下をくぐり、東北貨物線の起点である田端操車場(現在は信号場)に合流する。東北貨物線はここから大宮まで延びている。

田端操車場の大宮と反対側からは常磐貨物線が出ており、三河島駅の脇を通り、1896年開業という長い歴史を誇る隅田川貨物駅まで延びている。貨物列車と上下電車が3重衝突を起こし、160人の死者を出した1962年の三河島事故の舞台となった路線でもある。

残る東海道貨物線は少々複雑だ。起点となっていたのは、1914年に東京駅が開業したことに伴い汐留駅と名前を変えた旧新橋駅で、ここから品川駅までは旅客線の脇を走り、品川からは武蔵小杉付近を経由して鶴見に至る支線、通称・品鶴線を用意、鶴見―平塚間を複々線とした。品鶴線の途中には新鶴見操車場(現在は信号場)が置かれた。

■戦後さらに拡大した貨物線

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