テレビ「総コロナチャンネル化」の強烈な違和感 「見ずにはいられない」心理を突く罪深さ

東洋経済オンライン / 2021年1月15日 20時0分

「外出自粛」をミスリードしたのは政府だけではなかった(写真:roibu/iStock)

西村康稔経済再生担当相、田村憲久厚生労働相、小池百合子東京都知事らが相次いで不要不急の外出自粛を呼び掛け続けています。

これは緊急事態宣言が再発令されたにもかかわらず、人出が十分に減らなかったからであり、とりわけスポットを当てているのは昼の時間帯。西村経済再生担当相が「昼間でも感染リスクは変わりません。夜だけでなく、昼の外出も控えてください」、田村厚生労働相が「午後8時以降でなくても、不要不急の外出はなるべく避けていただきたいというのがわれわれの思い」、小池都知事が「昼夜を問いません。不要不急の外出を自粛してください」などとコメントしました。

これらのコメントは菅首相が“午後8時以降”を強調した外出自粛要請を行ったことによる誤解を解く必要性に迫られたものでしたが、ミスリードしたのは政治家たちだけではありません。多くの報道・情報番組が早朝から深夜までコロナ関連のニュースを報じ続け、その中で“午後8時以降”という部分を再三ピックアップしていました。

確かに、昼の外出自粛にほとんどふれなかった菅首相のコメントや話し方に問題があったのは間違いないでしょう。しかし、それにほとんど異を唱えずに報じて世間に広めたあげく、人出が減らなかったという結果を経て、「あの言い方は失敗だった」と批判に転じるメディアの姿勢にも疑問を抱かざるをえないのです。

■スタッフを各駅や繁華街に連日送り込む

ただ、報道・情報番組のミスリードは、“午後8時以降”だけではありませんでした。

今なお多くの報道・情報番組が連日スタッフを各駅や繁華街に送り込み、人出の様子を伝えるとともに、街頭インタビューを実行。「人の混み具合は変わっていないですね」「僕は通勤しなければいけない仕事だから……」などのコメントを映して不安をあおったり、「昼の外出くらいいいかなと思って」「家にいなければいけないんでしょうけど我慢できなくて」などのコメントを映して視聴者の怒りを誘ったりしています。

また、その不安や怒りに輪をかけているのが、不安を過剰にあおるようなナレーションとテロップ。

たとえば、14日・15日に放送された番組からピックアップすると、まずは「全国6605人 多くの地域で“感染爆発”危機」「東京の感染者8万人超す」「東京『感染爆発の兆候』自宅療養 急増8837人」などの数字を絡めたフレーズで危機感を抱かせました。

さらに、最も厳しい「入院待機者が倍増」「病床使用率は限界間近」「重症患者断るケースも」「入院先決まらず死亡した例も」「命の選択迫る」「発熱外来 電話殺到」「医師困惑 陽性率が急増」などの病院絡みを筆頭に、「閉店続出」「売上は8割減少」「ランチ客も減少で悲鳴」などの経済絡み、「党内からも『後手後手』の声」「危機意識で自治体と政府に温度差」などの政治絡みで、不安や怒りを誘うフレーズを連発。番組の大半をこれらのフレーズが埋め尽くしているうえに、赤の大文字や爆発を思わせる装飾などを使い、視聴者感情をあおっていました。

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