LCCピーチ、コロナ禍であえて国内線大増強の訳 「ステイジャパン」見込み、強気の逆張り路線

東洋経済オンライン / 2021年1月21日 8時0分

ピーチは2012年の初便就航以来、台湾や香港、韓国など近距離アジアへの国際線を成長の柱に据えてきた。コロナ影響が出る前の2019年3月期の国内線旅客キロ(旅客数×運航距離、航空会社の運航規模を示す)は、2015年3月期と比べて34.5%増だった。それに対し、国際線は同112.4%増で、今や国内線と並ぶ規模になっている。

しかし、コロナ禍における検疫体制の強化や需要の急減により、その国際線は2020年3月20日から全便運休を強いられた。同10月25日から一部の路線で運航を再開したが、年末年始の国際線利用客数はわずか58人と、引き続き需要が蒸発したままだ。

そこでピーチが目を付けたのが国内線だ。国際航空運送協会(IATA)によると、世界の航空需要がコロナ前である2019年の水準に戻るのは2024年のこと。ただ、IATAは出入国などのハードルが高い国際線より国内線が早く回復するとみている。

日本の国際線の旅客数も、2020年10月が前年同月比96.6%減と底ばい状態なのに対し、Go To トラベル事業などの後押しのあった国内線は同50.4%減と相対的に戻りは早い。

これを受け、ピーチは2023年3月期までに計画していた国際線の就航計画を先送りし、国内線のそれを前倒ししている。2020年8月には成田=釧路、宮崎線、10月には那覇=新千歳、仙台の各路線を開設。2021年1月には中部=那覇、石垣線、2月には成田=女満別、大分線の運航も始める。

LCCの客層構成も、コロナ禍におけるピーチの集客にプラスに働きそうだ。コロナ禍における航空需要は、リモートツールの普及や一部企業の業績悪化などで、ANAやJALの得意とするビジネス需要の戻りが遅いと見込まれている。一方、LCCは低運賃を武器に、従来から観光客や帰省客に強い。

ピーチの森CEOは2020年7月の東洋経済のインタビューで、「しばらくは海外旅行に行けないため、日本人は『ステイホーム』ならぬ『ステイジャパン』の状況となる。(Go To トラベルなどによって)国内旅行が促進される中で、逆に国内線を増やさないほうが疑問だ。やるなら今しかない」と語っていた。

■コロナ第3波後に需要は回復するか

気がかりなのは、コロナ感染第3波による再びの需要低迷だ。年末年始におけるピーチの国内線旅客数は前年比38.6%減の8万6739人にとどまった。利用率は46.8%と低迷し、森CEOの言う「利益を出すために必要な70%以上の搭乗率」にはほど遠い。現状は利益どころか、運航変動費を賄えるかどうかという状況だ。

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