新幹線「N700S」、JR東海と西で違う車両価格の謎 開発費用やスケールメリットの違いが要因に

東洋経済オンライン / 2021年1月25日 7時40分

N700A(左)と並んだ新型車両N700S(写真は確認試験車)(撮影:尾形文繁)

JR東海の新型新幹線「N700S」が昨年7月にデビューして半年あまりが経過した。

2022年度までに40編成が投入される計画で2020年度中に12編成を導入。その後2021年度、2022年度に14編成ずつ導入する。

近年のJR東海の新幹線車両の編成数は130編成程度。もし12編成がフルに運用されても全体の1割に満たないので、N700Sに乗れる機会はあまりないかもしれない。ただ、2023年度以降も引き続きN700Sの導入は続くと思われ、このペースで増備が進めば2020年代の後半にはN700Sが主流になっているだろう。

N700Sの1編成当たりの価格はどのくらいなのだろうか。JR東海は1編成当たりの価格を公表していないが、一方で、JR東海は補修費用などを含めた40編成のN700Sの工事費を約2400億円と公表している。そこで総額2400億円を40で割れば、補修部品費用を含めた1編成当たりの価格は60億円と推測できる。

■モデルチェンジのたびに高くなる

JR東海の葛西敬之名誉会長の著書『国鉄改革の真実』によれば、1999年に登場した「700系」の1編成当たりの価格は約40億円、2007年に登場した「N700系」は同約46億円だった。

もっとも、車両性能の向上による運用の効率化や、車両の軽量化をはじめとした省エネ対策の進展といった要素もあるので、製造費が高くなる反面、ランニングコストが削減できるという側面もある。N700Sは長時間の停電時においても一定程度の距離を自力で走行できるバッテリー自走システムを搭載したほか、消費電力削減のため、次世代半導体「SiC素子」を駆動システムに採用するなどの特徴を持つ。このように安全性や快適性を高める新技術が新型車両に採用されると、それがコストに反映される。また、N700系をマイナーチェンジして2013年に営業運転を開始した「N700A」の1編成当たりの価格は公表されていないが、N700Sと同様にJR東海が公表している費用の総額から推計すると約50億円となる。JR東海の新幹線車両は、新型車両が登場するたびに1編成当たりの価格が高くなっている。

昨年10月、JR西日本は今年2月から3月にかけてN700Sを2編成導入すると発表した。投資額は約130億円。単純に2で割れば1編成当たりの価格は65億円という計算になり、JR東海のN700Sよりも5億円高い。JR東海のN700SとJR西日本のN700Sで特に仕様が異なるわけでもない。では、この5億円の価格差は何なのだろうか。

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