「ムーンライトながら」違和感大ありの廃止理由 利用客に「行動様式の変化」を促したのは誰だ

東洋経済オンライン / 2021年1月28日 7時30分

「大垣行き夜行」から「ムーンライトながら」となるのは1996年からである。愛称付きになったのは人気列車だからとかという理由ではなく、車両が特急「東海」や「ふじかわ」などのJR東海373系に変更、全席指定席となったためである。指定席販売には、列車を特定するために愛称が必要だったのである。

しかし、車両が373系となったことでグリーン車の連結はなくなった(373系にはグリーン車がない)。この時点で東京から小田原方面への通勤の役割はなくなり、東京から乗車するには指定席券入手が必要になった。全車指定席にする理由は、追加料金の徴収による増収目的ではなく、自由席に座りたい利用客が早い時間からホームに並ぶことを嫌ったのである。

編成は複雑で3両編成を3組連結した9両編成、1~3号車は大垣行きで名古屋まで指定席、4~6号車は大垣行きで小田原まで指定席、7~9号車は名古屋止まりで小田原まで指定席となった。そのため、仮に指定席が入手できなくても、先行する列車で小田原まで行けば、座れる保証はないものの小田原から自由席に乗車することはできた。

ムーンライトながらは指定席確保が困難な人気列車となり、青春18きっぷのシーズンなど多客期には、JR東日本側の臨時列車が183系や189系で続行運転されていた。今振り返ると、この頃がムーンライトながらの全盛期だったのではないかと思う。青春18きっぷを使った旅といえば、「ながら」を真っ先に連想する人も多かったであろう。

しかし、その後は小田原からの自由席扱いもなくなり、JR東海が運行から退き、車両がJR東日本のものへ変更された。さらに臨時列車化され、車両が「踊り子」などの185系へと変遷していった。年々運転日が尻すぼみに少なくなっていき、「いずれ廃止も近い」というのは、鉄道ファンのみならず誰の目にも明らかだった。

■違和感大ありの廃止理由

ところで、JRはムーンライトながらの廃止理由として、利用者の「行動様式の変化」と「車両の老朽化」を挙げているが、非常に違和感がある。行動様式の変化とは、夜行列車に人気がないとでも言いたいのであろうが、実際には、ムーンライトながらは指定席券発売と同時に満席になるほどの人気列車だったし、車両の老朽化については185系が引退するだけの話で、車両の老朽化で列車そのものを廃止するなら、踊り子も廃止になってしまう。

JRではまだまだ使えそうな特急車両が次々に引退しているので、車両はいくらでもある。ほかの車両を使えば存続は可能であろう。廃止の本当の理由は、利用客のほとんどが青春18きっぷ+指定席券での利用であり、収益性がよくない。かといって特急化すると青春18きっぷでは利用できなくなり、利用者がいなくなるという狭間で廃止になるのであろう。廃止理由は単に「経営合理化の一環」とでもしたほうがすっきりした気がする。

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