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富士山は誰のもの?県が“登山税"徴収構想 8合目以上の所有権持つ浅間大社の反発は必至

東洋経済オンライン / 2021年2月2日 7時10分

富士山をご神体とする富士山本宮浅間大社の大鳥居(marchan/PIXTA)

山梨県は、2020年12月に「富士山登山鉄道構想検討会」の理事会(理事長・山東昭子参院議長)で、同県側の山麓と5合目を結ぶ有料道路「富士スバルライン」上にLRT(次世代型路面電車)を敷設するという素案を示した。富士山に登山鉄道を造るという壮大なプランだが、その前にあまり知られていない重大な問題がある。

静岡、山梨両県は、2022年夏から富士山登山に環境保全を目的とする「法定外目的税」をスタートする作業に入った。現在は、任意の協力金を登山者らに呼び掛けている。川勝平太静岡県知事は「不公平感をなくすのが目的。登山道整備や安全対策などの費用に充てる」と発言、“税金”徴収に前向きだ。

■8合目以上は浅間大社が所有

2013年6月、世界遺産委員会(事務局・仏パリ)は富士山を日本人の信仰の聖地として認め、世界文化遺産に登録した。信仰の中心となる8合目以上は富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)所有の境内地。国は世界遺産推薦に際して、この事実を明らかにしなかった。過去に所有権を巡り、同神社は国と激しく闘ってきただけに、信仰の聖地に強制的な“税金”を持ち出せば、激しい反発も予想される。

世界遺産登録を機に、静岡、山梨両県は2014年夏から5合目にある4つの登山口で保全協力金を徴収している。金額は1000円。徴収率は60%超と高いが、両県はこれに代わって法定外目的税として“入山料”を徴収する検討を進めてきた。今年3月末までに新制度の骨子案をつくり、来年度、国や地元議会などの同意を経て、2022年夏に“税金”徴収をスタートさせる予定だ。

富士山は世界遺産登録以前から日本の代表的な観光地であり、夏季の2カ月間だけで5合目まで約400万人、頂上を目指して約30万人が押し寄せるだけに、過剰利用が最大の問題だった。ところが、両県は過剰利用を抑えるための対策を行わず、“税金”収入確保の検討に入った。これは、入山規制を行うことなく、世界中からより多くの観光客を迎えたいのが本音だからなのだろう。

富士山が世界遺産として認められたのは、世界的な観光地の名山としてではなく、長い歴史を持つ「信仰」が高く評価されたことを忘れているようだ。日本の要求で、西洋芸術に影響を与えた「芸術の源泉」の要素も加えられたが、実際には、世界遺産委員会は「信仰」のみに高い評価を与えた。

全国約1500を数える浅間神社の中心、富士山本宮の社記によると、垂仁天皇3年(紀元前27年)が富士信仰の始まりとされる。古来、同神社の湧玉池(国の特別記念物)で水垢離(ごり)を取って体を清めてから、本宮に参拝して登り始め、山宮での遥拝を経て、村山登山道を登り、頂上を目指してきた。

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