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「救いの神」の廃止が象徴する夜行列車の衰退 高速バスに押されて消えゆく優等列車の灯火

東洋経済オンライン / 2021年2月15日 14時0分

185系快速「ムーンライトながら」(写真:Maxはやて / PIXTA)

年度末である3月は毎年、高速道路の新規区間開通のニュースが多く聞かれる時期である。2021年は、三陸道の未開通部分が大きく延伸されるなど、地域にとって重要な開業も含まれている。鉄道のほうも、年に一度の大規模なダイヤ改正がJR各社を中心に行われて、ニュースがにぎやかになる頃合いだ。

今年のダイヤ改正で注目されているのは、各社の終電時間の繰り上げ(首都圏ではすでに1月20日から、緊急事態宣言に合わせて先行して実施)であるが、鉄道ファンの間で大きな関心がもたれているのが、快速列車「ムーンライトながら」の運行停止、つまり廃止のニュースだ。

■格安で東海道を移動する「救いの神」

東京駅と東海道線の大垣駅(岐阜県)を結ぶこの夜行列車は、すでに2009年時点で定時運行は終わっており、春休みや夏休みなどの臨時列車に格下げされているうえ、華々しい特急列車でもなく、なぜ関心が持たれているのかと不思議に思われる向きもあるかもしれない。

しかし、この列車は「青春18きっぷ」に代表されるような安い鉄道旅を指向する旅行者にとって、格安で東海道を移動できる、「救いの神」のような存在の特別な列車であった。

深夜、東京駅を出発したこの列車は早朝、大垣駅に着くと、特別料金の要らない快速列車や普通列車を乗り継ぐことで、その日のうちに山陽路から九州方面まで足を延ばすことができる。

日単位で使う「青春18きっぷ」であれば、2000円少々にわずかの追加料金(日付が変わるまでの前日分の短い区間の運賃と指定席料金)で東京から九州まで移動できてしまうという、破格の節約旅を提供してくれていたのだ。

最盛期、全席指定ではなく自由席だったこともあり、この下り列車に席を確保するため、列車がホームに入線するはるか前から、東京駅に乗車のための行列ができるほどの人気であった。

JRが発表した「ムーンライトながら」廃止の理由には、「お客さまの行動様式の変化により列車の使命が薄れてきた……」とある。たしかに、新幹線網が全国に広がり航空路線も充実したうえ、LCCの台頭で運賃も下がっているなど、夜行列車のニーズが減っているのは間違いない。

しかし、人々が“夜間の移動”をしなくなったのかというと、そうではない。深夜、高速道路を疾走し、都市と都市を結ぶ夜行高速バスは「花盛り」といってよい盛況だ。

早朝5時半の東名高速道路、東京料金所。

私は以前、東名川崎インターチェンジ近くに住んでいて、徹夜明けで高速を使ってタクシーで帰宅する機会が数知れずあったが、そのおり上りの料金所付近を覗くと、中部・関西・中四国方面から走ってきた高速バスが数珠つなぎといってよいほどの密度で料金所を抜け、東京方面に出ていく様子に圧倒された記憶がある。

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