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「救いの神」の廃止が象徴する夜行列車の衰退 高速バスに押されて消えゆく優等列車の灯火

東洋経済オンライン / 2021年2月15日 14時0分

高速バスの時刻表をめくってみると、東名・新東名(一部中央道)を主に使う中部地方・西日本と東京を結ぶ夜行高速バスは、曜日限定の運行や季節運行もあって厳密に数えるのは難しいが、1日100便あまりに上る。

時刻表上は1便でも、乗客が多ければ追加でバスが増発されることもあるので、実際に走っているバスの台数はもっと多いだろう。

■大きく向上した快適性と利便性

かつて夜行バスといえば、フルフラットで眠ることができる鉄道の寝台車と比べると「狭い」「寝られない」「疲れる」といったマイナスイメージが強かったが、「独立3列シート」「女性専用車」「深いリクライニングシート」に、半個室仕様の豪華車両も登場するなど進化を続け、若い女性1人でも気軽に利用できるようになった。

筆者の教え子である関西の女子大学生たちも、「東京ディズニーリゾートに行ってきました」と報告してくれた際に、「どんな乗り物で?」と尋ねると、かなりの割合で、「夜行バス」という答えが返ってくる。「ムーンライトながらで」という答えは決して聞くことはない。

目的地のバラエティの豊かさも、バスは鉄道の比ではない。東京からの関西便だけとっても、京田辺(京都府)、枚方、東大阪、和泉(以上、大阪府)、王寺、五條(以上、奈良県)などに直行で運んでくれる。鉄道であれば、2度以上乗り換えなくてはいけない都市へ乗り換えなしで行けるのも、夜行バスの強みである。

さらに、鉄道の深夜運行には保守作業への影響があるほか、乗降駅で駅員の対応も必要になるなど、多くのコストがかかる。一方、高速バスは、当たり前だが高速道路も一般道路も24時間いつでも走れるので、乗務員以外には人的なコスト、インフラへのコストはほとんどかからない。

高速バスは現在、すべてネットで予約できて、スマホで予約済の画面を見せれば乗車できるため、予約や乗車の簡便性も鉄道に勝っている。こうしたこともあって、バスでも安い会社や時期を選べば、東京・大阪間でも数千円で移動可能となるのだ。

夜行列車の衰退は、「お客さまの行動様式の変化」というよりも、「高速バスの利便性に負けて……」といったほうが実態に近いといえそうだ。

「ムーンライトながら」の廃止に限らず、そもそも現在、JRで定期的に運行されている夜行列車は、現在、東京駅を夜10時に出発し、高松と出雲市に向かう特急「サンライズ瀬戸・出雲」(岡山駅で2方向に分割)のみという衰退ぶりである。

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